世界遺産NEWS 18/06/25:ガラパゴス諸島のクンブレ火山が噴火
5月上旬にアメリカ・ハワイ島の世界遺産「ハワイ火山国立公園」のキラウエア火山が活動を活発化させているという記事を書きました(下にリンクあり)。
今度はエクアドルの「ガラパゴス諸島」の構成資産であるフェルナンディナ島クンブレ火山で噴火のニュースです。
■Galapagos: Volcano Erupts After Series of 9 Earthquakes(teleSUR。英語)
今回はこのニュースをお伝えします。
※追記
6月26日、クンブレ火山に続いて隣のイザベラ島シエラ・ネグラ火山が噴火したので追記しました。
* * *
ガラパゴス諸島は南アメリカ大陸から約1,000kmも離れた孤島群で、太平洋プレート、ココスプレート、ナスカプレートという3つのプレートが激しく衝突することで溶岩が生成され、これが海中に噴出して誕生しました。
ナスカプレートが南東へ動いているため島々は毎年7cmほど移動している一方、溶岩が吹き出すホットスポットは移動しないため、島が転々と生まれています。
このため南東に位置する島ほど古く、南端のエスパニョーラ島が500万~300万年ほど前に生まれているのに対し、現在ホットスポットの直上にあるフェルナンディナ島やイザベラ島は誕生からまだ5万年ほどしか経っていないと考えられています。
ホットスポットの真上にあるということで両島の火山活動は続いており、フェルナンディナ島のクンブレ火山やイザベラ島のウォルフ火山をはじめとする6つの火山は時折噴火を記録しています。
さて、今回の噴火です。
噴火が起こったのはガラパゴス諸島で3番目の大きさを誇るフェルナンディナ島です。
この島はクンブレ火山を中心とする海洋島で、海底約1,000mから標高1,494mの山頂まで一気に駆け上がっています。
古くから火山活動が続いており、最近も2009年や2017年に噴火しています。
今回はまず、噴火に先行して6月17日午前11時頃、マグニチュード2.5~4.1の地震が9回観測されました。
続いて北東部で噴火がはじまって高さ2~3kmに及ぶガス柱が立ちました。
やがて溶岩が流れ出して海に流入し、水蒸気爆発を起こしてこちらも高い雲を発生させています。
上の動画にある海中からモウモウと立ち上がる雲は、どうやら溶岩のオーシャンエントリーの際の雲であるようです。
気になる被害ですが、この島は無人島であるため居住者の被害はなく、被災した旅行者もいないようです。
動植物への影響ですが、もともと植物がほとんど生育していない溶岩台地であることから植物の被害は少なく、生息しているウミイグアナやガラパゴスペンギン類はある程度泳げるし、ダーウィンフィンチ等の鳥類は飛べるということで、いまのところ被害は大きくないようです。
ガラパゴス国立公園の担当者は、仮に被害が広がったとしても自然の過程であるから生態系に介入する予定はないとしています。
上は船から撮影された溶岩の様子です。
観光客の多くは船に乗って島々を巡るクルーズの旅に参加するのですが、クルーズ船はフェルナンディナ島の沖合い2kmほどに停泊して壮大なマグマショーを観察しているようです。
現在、溶岩流は収まっていて観光の規制も行われていませんが、火山性の地震は続いているということでエクアドル政府は近づきすぎないよう警告するとともに注意を喚起しています。
また、日本の外務省は滞在中あるいは近く訪問を計画されている方に最新情報を入手・確認するよう呼び掛けています。
[関連記事&サイト]
海外安全ホームページ(外務省)
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※追記
この記事を書いた翌日の6月26日、今度はフェルナンディナ島の隣のイザベラ島で噴火が起こりました。
噴火したのは標高1,124mのシエラ・ネグラ火山で、クンブレ火山から67km南東に位置します。
この火山は15年に一度ほどの割合で噴火することで知られ、最近では1979年、2005年に噴火しています。
山頂のカルデラの南東20kmほどにはプエルト・ヴィラミルという町があり、1979年の噴火では溶岩がこの町を襲い、2005年には火山灰のために被害を受けています。
今回の噴火の噴煙は10,000mを超えており、溶岩はすでに海に到達しています。
ただ、トレッキング中の観光客数名が避難したものの、町に被害はないようです。
懸念されているのは火山灰の被害です。
噴煙は東に向いていますが火山の東100kmにはバルトラ空港があるため、観光への影響が心配されています。