世界遺産NEWS 15/07/03：ガラパゴス諸島で外資解禁反対デモ

エクアドルの世界遺産「ガラパゴス諸島」は1978年に世界ではじめて誕生した世界遺産12件のひとつです。

火山によって誕生した孤独な島々で、いくつもの寒流と暖流が交差する複雑な海流や南米大陸から約950kmも離れた隔絶した環境から、独自の生態系を築いています。

ダーウィンがビーグル号でこの島を訪れたことでも有名ですね。

この世界遺産はこれまでエクアドルの政府と国民によってとても大切にされてきました。

1968年に総面積の97.5%を国立公園に指定すると、1986年にはその周辺海域も海洋保護区に指定。

1998年にはガラパゴス特別法を制定して開発を厳しく制限し、保護体制を整えました。

残念ながら、2007年に観光客や移住者の急増による環境破壊や外来種の繁殖、乱獲や密漁の横行などによって危機遺産リストに掲載されましたが、入島者の制限や密漁の取り締まりのほか、上陸する前に船舶や観光客の靴を消毒したり、ゴミをはじめ島への廃棄・持ち込みを禁じるなどの徹底した措置が認められて、2010年に無事リストから削除されています。

そんなガラパゴス諸島ですが、このたびエクアドル政府はプール付きの高級ホテルやゴルフ場といったラグジュアリー・ツーリズムの開発を外資に開放するために、法改正の方針を決めました。

これに対してガラパゴス諸島では住人による反対運動が起き、催涙弾を装備した警察が鎮圧にあたり、逮捕者も出ているということです。

住民は、ただでさえ水質汚濁などの問題が起こっているのに、ホテルが建設されたら１日600～800人の観光客の増加が見込まれ、環境に大きな影響を与えることを懸念しています。

また、プールやゴルフ場を維持するために貴重な淡水が大量に使用され、これによって未知の問題が起こることも恐れています。

一方、政府は観光を強化して９千万ドルの投資を呼び込む計画で、2015年１月には外国人向けのウェブサイトを立ち上げました。

政府が観光開発に熱心なのは、このところの石油価格の下落に伴う歳入不足を補う財源が必要であるためと考えられています。

こうした計画が住民に知らされずに進められたことも反感を買っています。

住民たちはグリーンピースやWWF（世界自然保護基金）などにも共闘を呼び掛けており、ガラパゴス諸島をふたたび危機遺産リストに掲載するためUNESCO（ユネスコ＝国際連合教育科学文化機関）へのアピールも行う予定だということです。

ちなみに、入島者は1990年に40,000人だったものが、危機遺産リストに入る前年の2006年には145,000人に達し、2014年には215,000人に増えているということです。

保護か、開発か――

一度は危機遺産を克服したガラパゴス諸島ですが、戦いは終わりません。

そうそう、上の動画。

ツーリズムの話とはまったく関係ありませんが、ガラパゴス諸島のイザベラ島ウォルフ火山が５月25日に噴火しました。

噴火は1982年以来で、同島のイグアナ生息地などを侵食している模様ですが、いまのところ他の島への大きな影響はないということです。

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