私的旅行術 準備編7:お金とカード <中編> クレジットカード
カードには以下のような種類があります。
今回はこのうちクレジットカードに焦点を絞って解説します。
なお、カードを使うことのメリットについては前回の記事も参照してください。
○カードの種類
- 海外プリペイドカード
- デビットカード
- 国際キャッシュカード
- クレジットカード
○本記事の章立て
- クレジットカードとは何か
- クレジットカードのふたつの機能
- クレジットカードのキャッシング
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■クレジットカードとは何か?
クレジットカードは会員を信用することによって後払いができるカードです。
カードを提示して商品を購入すると、後日、銀行口座からお金がカード会社へ支払われます。
こうして後から支払える代わりに、信用調査と金利(ATM等からお金を引き下ろすキャッシングの場合)や分割払手数料(分割払いの場合)が発生する仕組みになっています。
金利や分割払手数料はブランドやカード会社・支払い回数・時期などによって異なります。
こうした後払いの決済機能をグローバルに展開しているのが「国際ブランド」です。
5大国際ブランドのVISA(ビザ)、MasterCard(マスターカード)、JCB(ジェーシービー)、AMERICAN EXPRESS(アメリカン・エキスプレス。アメックス)、Diners Club(ダイナースクラブ)がもっともよく知られていますね。
これに銀聯(ぎんれん)とDISCOVER(ディスカバー)を加えると7大国際ブランドになります。
このうちVISAとMasterCardが最大手で、このふたつを持っていれば辺境国に行ってもほとんど困ることがありません。
ぼくもアフリカや中南米のど田舎で利用させてもらいました。
ただ、VISAとMasterCardは決済機能を提供するだけで自社ではカードを発行していません。
このため発行会社(Issuer)が発行する提携カードにVISAやMasterCardのマークがついた形で提供されています。
一方、JCBやAMERICAN EXPRESS、Diners Clubなどは自らカードを発行していて、これらはプロパーカードと呼ばれます。
提携カードの一例が下の楽天プレミアムカードですが、楽天が発行しているカードにVISAやMasterCard、JCBといったカード会社のマークが付いているわけです。
ちなみにこの楽天プレミアムカード、世界145か国・600を超える都市にある1,500以上の空港ラウンジが無料で使える「プライオリティ・パス」のプレステージ会員の資格が得られるということで旅行者に非常に人気です。
通常、こうしたVIPラウンジは年会費と1回3,000円ほどの使用料がかかります(一般のプレステージ会員は4~5万円ほどの年会費を払うと使用料が無料になります)。
この年会費や使用料がともに無料になるというもので、カードの年会費1万円+税と比べて非常にお得であるのがわかります。
ぼくも持っているのですが、これを持ってから空港で長時間待つことがまったく苦ではなくなりました。
空港には保安検査場やイミグレ(イミグレーション)、税関などを越えた先の制限エリアであるエアサイドと、誰でも立ち入ることのできるランドサイドの2エリアがありますが、両方にラウンジがあるような空港であれば、チェックイン前の時間やチェックイン後の時間をエアサイドとランドサイドのラウンジをハシゴして時間を処理できます。
ビュッフェ・スタイルの料理の中には現地料理のメニューがあったり、現地のお酒が提供されることも多く、電源やWi-Fi、シャワーやリラックスルームがあったりするので、準備を調えるには絶好の場所です。
ただ、24時間空いているわけではなかったり、ターミナルにラウンジがなくて使えないこともあったりします。
なお、このカードは海外旅行保険については自動付帯となっています(付帯条件については「準備編10:クレジットカード付帯の海外旅行保険」参照)。
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■クレジットカードのふたつの機能
クレジットカードには主に2種類の機能があります。
- ショッピング
加盟店でカードを提示し、お金を支払わずに商品やサービスを受けること
- キャッシング
カードを使ってATMからお金を引き出すこと
カードを提示されたホテルやお店は加盟店手数料(3~7%といわれています)を管理会社に支払い、管理会社は発行会社や国際ブランドに手数料を払います。
お店としては現金と比べて手数料分だけ損することになりますが、サービスの一環として提供しているわけです。
このように店側から手数料を取り、その分利用者に還元しているわけですから、ショッピングについてはカードを使用した方が圧倒的にお得でデメリットがほとんどありません。
日本にいた頃、ぼくは生活費の多くをカードで支払っていましたが、貯まるマイルだけで毎年アジアに無料で旅行に行けたくらいです。
店側はクレジットカードの手数料分も商品価格に上乗せしているわけですから、現金払いは損とさえいえます。
ただ、ショッピングにカード手数料がかかる場合はこの限りではありません。
「カード払いの場合は○%の手数料がかかります」といった表示は原則、加盟店規約違反で、日本では現在このような店はほとんどなくなりました。
しかし、東南アジアなどでは3~5%の手数料を取るのが一般的だったりします。
この場合は必ずしもお得とは限らないので、手数料の額と手間等を比べて判断しましょう。
今回は大テーマが「お金の持ち出し方」なので、キャッシングについて詳説します。
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■クレジットカードのキャッシング
銀行カードでお金を引き出すのと同じ感覚で、クレジットカードと同じマークのついているATMから現地通貨を引き出すことができます。
これをキャッシングといいますが、問題になるのは以下の5点です。
○キャッシングで気にすべき5項目
- 為替レート
- 為替事務手数料(両替手数料)
- 金利
- ATM手数料(現地金融機関)
- 引き下ろし手数料(現地金融機関)
お金を現地通貨で引き出い、銀行口座の円で支払うわけですから両替が必要です。
そこで両替のレートと為替事務手数料が関係してくるわけです。
為替レートは日々更新されており、利用データが決済センターに届いた日のレートが適用されます。
為替事務手数料は国際ブランドや発行会社によって異なりますが、だいたい1.3~2.0%前後に設定されています。
1$=100円が為替レートで為替事務手数料が2.0%であれば、1$=102円が換算レートということになります。
注意したいのは、ATMによっては金融機関の独自レートが表示されることがあるということです。
その場合、ATMに「現地通貨で支払うか、それとも日本円で支払うか」というような表示が出てきます。
現地通貨を引き下ろすときは必ず「現地通貨で支払う」方を選びましょう。
この表示が意味しているのは、両替をその金融機関で行うか、それともクレジットカード会社で行うかという選択です。
金融機関の独自レートは国際ブランドのレートに比べてきわめて悪く設定されています。
これはショッピングにも言えて、現地通貨と日本円を選ぶときは現地通貨を選んだ方がお得です。
そしてキャッシングの場合、これに金利が加わります。
一般的に金利は年15~20%程度で、返済まで日割りの計算になります。
年18%であれば月1.5%、1日0.05%くらいですね。
キャッシングで翌月一括払いする場合、借りてから支払日までの金利がつくことになります。
たとえば為替事務手数料2.0%、金利1.0%なら3.0%が為替レートに加算されるわけです。
ただ、金利についてはカード会社に直接連絡して繰り上げ返済することで減らすことも可能です。
この場合、カード会社の指定口座に入金して決済を繰り上げることで金利の支払いを停止させます。
以上の3点、為替レート・為替事務手数料・金利はそれぞれの国際ブランドや発行会社がレートや手数料・金利を発表しているので、カードを作る際に調べてみるとよいでしょう。
なお、キャッシングの場合、ショッピングと違ってマイルやポイントは付きません。
○現地金融機関が加算する手数料について
残りのふたつの手数料、ATM手数料と引き下ろし手数料は、ATMが所属する金融機関が設定した手数料です。
ATM手数料に関して、日本でもATMでキャッシングする際には0~300円ほどかかります。
海外でも同様で、基本的にはATMを使用するたびに手数料がかかります。
ただ、カードによっては現地金融機関などと提携して無料であることも少なくありません。
特に先進国では無料であることが多いです。
アジアや南米などの途上国・中進国ではかなり高額になることもあり、しかもATMによって本当にバラバラだったりします。
やっかいなのは、ATM手数料がATMに表示された場合でも実際に引き下ろされてみると無料だったり、表示より安くなったりする点です。
この辺りは事前に調べておくとよいでしょう。
ATM手数料に対する対策は以下となります。
- カード会社によって条件が違うので事前によく調べておく
- 一度になるべく多くのお金を引き出して、ATMの使用回数を減らす
- ATMでキャッシングせず、カードでショッピングする
- クレジットカード会社直属のATMを使用する
特に途上国の場合、金融機関によってはATM手数料以外の手数料が加わることがあります。
ここでは「引き下ろし手数料」としていますが、これについては本当にケース・バイ・ケースです。
ただ、カードやATMによるとはいえ、一般的にはクレジットカードのキャッシングの方がデビットカードや海外プリペイドカード、国際キャッシュカードによる引き落としよりも断然お得です。
これらのカードも結局、国際ブランドの決済システムを使っているのですから当然です。
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次回はデビットカード、海外プリペイドカード、国際キャッシュカードについて解説します。
※以上の内容は国や会社・状況によって事情が異なることがあります
※内容を保証するものではありませんので、必ずご自分で確認してください