私的旅行術 準備編10:クレジットカード付帯の海外旅行保険

クレジットカードにはしばしば海外旅行保険が付帯されています。

おまけだと思って気にとめていない人も多いようですが、カードによっては非常に充実した内容になっています。

海外旅行保険に加入する際も、カードの内容をカバーする形にすればコストが抑えられます。

 

今回はクレジットカード付帯の海外旅行保険について解説します。

長期旅行者の方、自動付帯と利用付帯を組み合わせた長期補償の方法も記したので参考にしてみてくださいね。

なお、海外旅行保険一般については前回の記事も参照ください。

 

○本記事の章立て

  • クレジットカード付帯の海外旅行保険の内容
  • クレジットカードを複数持っている場合、補償は加算されるのか?
  • 付帯保険の付帯条件と保険期間
  • 自動付帯と利用付帯を組み合わせた長期補償の方法

 

* * * 

■クレジットカード付帯の海外旅行保険の内容

クレジットカードには年会費無料のものから数十万円もするゴールド・プラチナ・ブラックといったグレードのものまでさまざまな種類が存在します。

一般的にグレードが上がるほど付帯保険の内容もよくなるものですが、そうでないカードもあったりします。

カードをお持ちの方は公式サイトなどに掲載されている約款かその要約を読んでみてください。

 

たとえばぼくが使っているクレジットカードのうちの1枚の補償内容は以下となっています。

  • 傷害死亡:最高7,000万円
  • 後遺障害:最高7,000万円
  • 傷害治療:200万円
  • 疾病治療:200万円
  • 賠償責任:3,000万円
  • 救援者費用:100万円
  • 携行品損害:30万円

 

傷害死亡・後遺障害については一般の海外旅行保険に匹敵する内容で、もっともよく使うであろう携行品損害もカバーしています。

その代わり疾病死亡がなく(付帯保険では通常ありません)、傷害治療や救援者費用は抑えられています。

といっても医療費が高いアメリカなどに行く場合を除いて、「これなら付帯保険だけで十分だ」と考える人も少なくないのではないでしょうか?

 

このカードを持ったうえで海外旅行保険をかけるのであれば、傷害死亡・後遺障害のような強い部分は最低限に抑え、弱い部分、この場合なら疾病死亡・傷害治療・疾病治療・救援者費用等を手厚くし、必要に応じて航空機寄託手荷物遅延や航空機遅延をオプションで付加するとよい、ということになりそうです。

 

* * *

 

■クレジットカードを複数持っている場合、補償は加算されるのか?

この時代、多くの人が複数のクレジットカードを持っています。

そしてカードを持っていても海外旅行保険をかける方が大多数だと思います。

 

その場合、複数の保険会社から保険金を受け取ることができるのでしょうか?

あるいは補償額は合算されるのでしょうか?

たとえば200万円の治療費がかかった場合、2社に請求して200万円×2社=400万円をゲットすることができるのでしょうか?

 

もちろん、こんなことはできません。

保険会社は案分といって、合計金額、この場合は200万円を折半して支払います。

 

保険を請求する際に他の保険会社について書く欄があるので、ここに記入すれば保険会社はそちらに連絡を取って折半の内容を詰めていきます。

仮にこの欄に書かなくても、保険会社は状況を把握できるシステムを持っているので、変なことは考えないようにしましょう。

 

ただ、たとえば傷害治療の上限がA社100万円、B社100万円である場合、A社から100万円、B社から100万円で治療費の200万円を得ることは可能です。

これは「上限については合算できる」ことを意味します。

 

ぼくの場合、携行品損害について1社の上限は30万円で、もう1社の上限は50万円です。

ということは、両社合わせて上限80万円まで補償が期待できるわけです。

 

ただし、以下の点は注意が必要です。

  • 同系列のカードの場合、合算できないことがある
  • 免責も合算になる
  • 死亡・後遺障害等、合算できないものもある

 

クレジットカードの傷害治療や疾病治療はあまり充実していなかったりするものですが、複数のカードを持つことである程度カバーできるわけですね。

 

* * *

 

■付帯保険の付帯条件と保険期間

付帯保険の場合、海外旅行に行くだけで、なんの手続きもなしに補償が効くのでしょうか?

 

実は付帯条件に2種類あって、自動付帯でない場合は発動する条件が付いています。

この条件を満たさない限り、補償はされませんので注意が必要です。

 

○保険の付帯条件

  • 自動付帯

海外旅行に行くと自動的に付帯されるもの

  • 利用付帯

カード利用の条件を満たしたときに付帯されるもの

 

自動付帯の場合、海外旅行に行くと、自宅を出発する日から帰宅する日までの間、自動的に保険が付帯されます。

保険期間は一般的に90日で、60日とするカードもあります。

これを超えた期間については保険は適用されません。

 

一方、利用付帯は多くの場合、旅行で使用する公共交通機関の運賃やツアー代金等をカードで予約したり支払うことで付帯されます。

公共交通機関とはバスやタクシー・電車・船・飛行機等のことなので、たとえば空港に向かう際に使う電車やタクシーの運賃をカードで支払っても利用条件を満たします。

 

逆にいえば利用付帯の場合、カードを使わなければ保険は適用されないことになります。

付帯保険をあてにしている方はこの点、十分注意しておきましょう。

ということで、後述するような利用付帯の使い方をする意図がないのであれば、付帯の海外旅行保険でクレジットカードを選ぶなら自動付帯のものを選んだ方がよい、ということになります。

 

利用付帯の保険期間は一般的に60~90日で、自宅を出る日、あるいはカードを使った日から帰宅する日まで付帯されます。

旅行が保険期間を超える場合は期間限度までとなります。

 

カードによっては日本出国後、海外旅行の最中に公共交通機関の料金をカードで予約・支払った場合でも保険が付帯されるものもあります。

この場合、最初にカードを使用したときから帰宅する日まで、あるいは期間限度までが保険期間となります。

 

* * *

 

■自動付帯と利用付帯を組み合わせた長期補償の方法

自動付帯と利用付帯を組み合わせると長期の保険期間を確保できたりします。

 

たとえば自動付帯のカードAと、利用付帯のカードBを持っているとします。

カードAの保険期間は90日で、カードBの保険期間は60日です。

そしてカードBは出国後でも公共交通機関の料金をカード払いすれば付帯されるタイプのものです。

 

この場合、海外旅行をすれば自動的に90日の間、カードAの保険期間となります。

そして保険が切れる90日後、公共交通機関の支払いをカードBで行えば、そこから新たに60日の保険期間が開始されます。

ふたつのカードの保険期間が合算されたことになりますね。

3枚のカードを使ってもこうしたことが可能です。

 

この場合、以下の2点には注意してください。

  • 旅行中にカードBで公共交通機関の支払いを行うとその時点で付帯されるので、意図した日以前には使えない
  • 保険期間が重ならないので補償額の上限の合算ができない

 

なお、利用付帯の条件はカードによって異なるので、カードの契約をする前、あるいは海外旅行に出掛ける前に約款などを確認してみてください。

 

* * *

 

次回は盗難や紛失に対する対策について解説します。

 

 

※以上の内容は国や会社・状況によって事情が異なることがあります

※内容を保証するものではありませんので、必ずご自分で確認してください

 


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