エロジー4:フェティシズム
「エロスなんて変態が使う言葉だ」
ピュアな心を持つお嬢さん。
あなたにはエロスの素質があるようですな。
快楽とは縛りです。
縛りのない動物のような原始の男女。
いつも裸で暮らし、気が向いたらどこなりともセックスする男女。
彼らの行為にエロスを感じますかの?
なぜ彼らにエロスを感じないのですかな?
縛りがないからです。
普段スーツやドレスを可憐に着こなし、道徳や倫理を重んじるあなたのような方々が、エロスを生産しているのですぞ。
原始の女にドレスを与えても原始の男が快楽を感じることはありませんの。
「服」という縛りを理解せぬからです。
しかし我々は服に社会の縛りを見て、洋服で着飾る、つまり「服を着なくてはならない」という道徳や倫理という縛りに快楽を見出しているわけです。
服を脱がしてもただ裸に戻るだけなのに、清楚なスーツや純白なドレスを脱がすことにはただ裸になる以上の意味を我々は見るわけですの。
清楚なスーツや純白なドレスを着ることが、エロスの位置エネルギーを高めるわけですな。
先述したとおり、文化とは、縛りを設けて高めること。
SMですな。
たとえば人によっては社会の縛りを教師に代表させる。
人によっては社会の縛りをスーツに代表させる。
社会の縛りを医者に代表させる。
あれあれ、道徳観・倫理観がすぐれた美しいお方がこんなお姿に……。
フェティシズムですな。
社会の道徳観・倫理観といった縛りに身を委ねる快楽。
これを知っているお嬢さん、あなたは知らず知らず自分でエロスを高めていらっしゃる。
その意味を知らずとも、あなたは縛りの快楽に目覚めはじめているわけですの。
「文化人は変態になる」
違いますな。
原始の男女から見れば、洋服を着ることが、つまり文化自体が無意味で無駄で変態的な行為なのですからな。
素質十分な可憐で変態的なお嬢さん。
あなたはエロスのエネルギーを高めていらっしゃる。
高ぶっていらっしゃる。
あとはそれを破り開放する人間ときっかけがあればよいだけ。