世界遺産と世界史3.地形の形成
<地球の火山活動>
■海洋島の動き
ホットスポットから海洋島群が誕生する仕組み
前回の記事のように、大陸のダイナミックな動きは地球内部のマグマの活動から来ています。
今回は火山活動を中心にさまざまな地形を見ていきたいと思いますが、まずは大陸と独立した海洋島を紹介します。
プレート・テクトニクス理論が示すプレートの移動は海洋島の動きで確認することができます。
一例が上の動画にあるアメリカのハワイ諸島です。
あの辺りにホット・プルーム(前回参照)が上昇してできたマグマ溜まりがあり、「ホット・スポット」を形成しています。
溜まった溶岩が噴出して海底火山が爆発し、海面を越えて溶岩が固まると島ができます。
島は太平洋・プレートに乗って北西、つまり日本の方向に年5~10cmのペースで移動していますが、地下深くのホット・スポットは動きません。
ですから島が移動した後でまた噴火することで新しい島ができあがります。
そして古い島は海の侵食を受けてやがて海中に没してしまいます。
こうして生まれた海山や島の連なりがハワイ=天皇海山列で、ミッドウェー環礁群やハワイ諸島もその一部です。
ミッドウェー島は約2,000万年前、ハワイ島は約50万年前に誕生しました。
ハワイ島の地下にあるホット・スポットは現在も激しい活動を続けています。
キラウエア山やマウナ・ロア山といった活火山がその一例で、特にマウナ・ロア山は島にありながら4,169mもの標高を持ち、海の下の部分を含めると約1万mと世界最大の火山となります。
ミッドウェー環礁群は「パパハナウモクアケア(アメリカ)」、キラウエアやマウナ・ロアの山域は「ハワイ火山国立公園(アメリカ)」として世界遺産リストに登録されています。
ハワイ諸島とよく似ているのがエクアドルの世界遺産「ガラパゴス諸島」です。
ガラパゴス諸島の周辺では太平洋、ココス、ナスカという3枚の海洋プレートが接しており、プレート同士が衝突する摩擦熱や、海洋プレートの沈み込みがもたらす海水による融点降下で岩盤が溶かされてホット・スポットになっています。
ナスカプレートが南東に移動しているため島々も毎年7cmほどずつ動いており、諸島が誕生しました。
もっとも若いフェルナンディナ島やイザベラ島は誕生から5万年ほど、もっとも古い島は南端のエスパニョーラ島で500万~300万年ほど前にできました。
さらに南東の島々は海中に沈んでおり、いまの島々もやがて海に沈んで消えていくと考えられています。
ガラパゴス諸島はもっとも近い大陸(南米大陸)から約1,000km離れており、一度も大陸とつながったことがありません。
そのため渡り鳥やゾウガメ以外の陸上生物は到達しにくく、偶然たどり着くことができた一部の種が天敵のいない環境で多彩に進化することになりました。
こうして少ない種が多様に進化した独特の生態系が誕生しました。
環境に適した個体が生き残って特徴を次世代に伝えて種が分化する――
ダーウィンはここで適者生存のアイデアを着想し、自然選択説(自然淘汰説)に行き着いたといわれています。
隆起や海底火山によって誕生し、大陸から独立しており、海底から海面に出ている島を「海洋島(かいようとう)」といいます。
これに対し、大陸の周縁部にあって大陸棚に属する島、つまり大陸の一部といえる島は「大陸島(たいりくとう)」と呼ばれます。
海洋島は絶海の孤島に独特の生態系を持っていることが多く、先の「パパハナウモクアケア(アメリカ)」や「ガラパゴス諸島(エクアドル)」も海洋島です。
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おもしろいところではアイスランドの世界遺産「スルツエイ」があります。
1963~67年の火山活動で誕生した海洋島で、陸地ができてから50年余しか経っていません。
どのように動植物が定着していくのか観察するために許可を受けた科学者以外に上陸は認められておらず、いまもなお注意深く観測が続けられています。
爆発が収束していない1965年には草が確認され、1967年からはさまざまな植物が観察されるようになりました。
1970年代にはカモメなどの鳥が繁殖をはじめ、鳥のフンから土が作られました。
2004年までに60種の植物、75種のコケ類、89種の鳥類、335種の無脊椎動物が確認されています。
島が噴火してその全体が溶岩や火山灰に覆われてしまったのが世界遺産「小笠原諸島」の西之島です。
こちらでも島の生態系がどのように形成されるのか、慎重な調査が進められています。
絶海の孤島に独特の文化が誕生したもっとも有名な例がイースター島の「ラパ・ヌイ国立公園(チリ)」です。
もっとも近い島まで400km以上、もっとも近い大陸(南アメリカ大陸)となると4,000km近く彼方という文字通りの孤島です。
海底火山の噴火によって造られ、その名残は3つの火山とラノ・カウやラノ・ララクなどの噴火口に見ることができます。
こんな場所に最大で高さ20m・重さ200t、900体を超えるモアイが打ち捨てられていたことから歴史ミステリーとなりました。
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海洋島の世界遺産の例を挙げておきましょう。
なお、「小笠原諸島(日本)」のように火山ではなく隆起で生まれた海洋島(海洋性島弧といいます)もあり、「カリフォルニア湾の島々と保護地域群(メキシコ)」は海洋島と大陸島が混在しています。
○海洋島の世界遺産の例
- ヴァトナヨークトル国立公園-炎と氷によるダイナミックな自然(アイスランド)
- スルツエイ島(アイスランド)
- セント・キルダ(イギリス)
- ゴフ島及びインアクセシブル島(イギリス)
- ガラホナイ国立公園(スペイン)
- テイデ国立公園(スペイン)
- レユニオン島の峻峰群・圏谷群及び岩壁群(フランス)
- マデイラ諸島のラウリシルヴァ(ポルトガル)
- 小笠原諸島(日本)
- ハード島とマクドナルド諸島(オーストラリア)
- ロード・ハウ諸島(オーストラリア)
- マッコーリー島(オーストラリア)
- 東レンネル(ソロモン諸島)
- ニュージーランドの亜南極諸島(ニュージーランド)
- ハワイ火山国立公園(アメリカ)
- パパハナウモクアケア(アメリカ)
- ココ島国立公園(コスタリカ)
- ピトンズ・マネジメント・エリア(セントルシア)
- モーン・トロワ・ピトンズ国立公園(ドミニカ国)
- カリフォルニア湾の島々と保護地域群(メキシコ)
- ガラパゴス諸島(エクアドル)
- マルペロの動植物保護区(コロンビア)
- ラパ・ヌイ国立公園(チリ)
- ブラジルの大西洋諸島:フェルナンド・デ・ノローニャとロカス環礁保護区群(ブラジル)
かつて大陸だった島を「大陸断片」といいます。
大陸断片にはマダガスカル島やグリーンランド、ニューカレドニア島、タスマニア島、キューバ島、セイロン島などがあり、島が大きいので多数の世界遺産があります。
大陸島は大陸隣接の島の多くが含まれるのでこちらもたくさんあります。
大陸島に関する世界遺産の例を挙げると、「エオリア諸島(イタリア)」「屋久島(日本)」「済州火山島と溶岩洞窟群窟群(韓国)」「ウジュン・クロン国立公園(インドネシア)」「グヌン・ムル国立公園(マレーシア)」「クガリ[フレーザー島](オーストラリア)」「コイバ国立公園とその海洋保護特別地帯(パナマ)」などがあります。
■大陸の火山活動
当然ながら、マグマの活動、つまり火山活動は大陸内部でも起きています。
最たるものがロシアの世界遺産「カムチャツカ火山群」です。
カムチャツカ半島はユーラシア大陸にかろうじてつながっている半島で、内部には300以上の火山があって「火山の博物館」の異名を持っています。
高さ4,887mを誇る最高峰クリュチェフスカヤ山をはじめ、火山によって形成された3,000mを超える山々によって大陸から隔絶されている環境から固有種も多く、貴重な生態系を有しています。
この辺りで海洋プレートである太平洋・プレートが大陸プレートである北アメリカ・プレートの下に沈み込んでおり、その反動で盛り上がってできた半島で、沈み込み帯で生まれた溶岩が噴火しています。
カムチャツカ半島から北海道に延びる千島列島も同様で、沈み込みのラインに沿ってできる円弧状の島の連なり=弧状列島となっています。
火山活動が作った土地の極めつけがアメリカの世界遺産「イエローストーン国立公園」です。
約200万年前、130万年前、60万年前に起こった超巨大噴火によってできた土地で、氷河時代に氷河の侵食を受けてイエローストーン大渓谷をはじめとしたダイナミックな景観を生み出しました。
地下のマグマの活動はいまだ活発で、間欠泉の数は300以上、間欠泉・噴気孔・温泉・泥泉といった熱水現象は1万超と、地球上の半数以上が集中しているといわれます。
将来的には再噴火すると考えられていますが、もし噴火した場合、園内すべてを吹き飛ばし、地球環境を大幅に変えるほどのダメージを与えると見積もられています。
なお、イエローストーンは世界初の国立公園であると同時に、1978年に登録された世界初の世界遺産12件のひとつでもあります。
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ユニークな火山地形ではキリマンジャロの約200km西にある世界遺産「ンゴロンゴロ保全地域(タンザニア)」があります。
200万年前の火山噴火でできた直径約16~20kmのクレーターで、高さ約600mに及ぶ外縁山に取り囲まれているため内部の動物は多くがその中で生涯を過ごします。
古くからマサイ族の暮らす土地であるために国立公園ではないのですが、オルドヴァイ峡谷やライトリ遺跡から発見された猿人や原人の化石や石器から文化的価値も認められて複合遺産になっています。
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古くから火山研究で知られるのがイタリアの世界遺産「エオリア諸島」です。
さまざまなタイプの火山が集まっており、遅くても18世紀には専門家による火山の研究がはじまっています。
周期的に小噴火を繰り返すストロンボリ式噴火で知られるストロンボリ火山や、マグマの粘性が高くて不定期に大噴火を起こすブルカノ式噴火のヴルカーノ火山といった用語にもなっています。
噴火のタイプと世界遺産の関係としては他に、世界遺産「ハワイ火山国立公園(アメリカ)」は水のように流動性が高いマグマで、圧力が抜けるため安全であることで知られ、ハワイ式噴火と呼ばれています。
世界遺産「ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの考古地域群(イタリア)」を襲ったヴェスヴィオ山の噴火はブルカノ式噴火がさらに発達したプリニー式噴火です。
先の「イエローストーン国立公園(アメリカ)」のように地球環境を変えるほどの大噴火はウルトラ・プリニー式噴火あるいは破局噴火と呼ばれています。
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<地形の形成>
■地形輪廻
地形のサイクルを紹介しましょう。
大地がせり上がる隆起や火山によって山や丘ができるわけですが(逆に沈み込む沈降によってできることもあります)、こうした地形は川や海や氷河などに削られる「侵食」や、長年日光や風雨を浴びることで物理的に削られたり組成が変わって溶けたり剥がれたりする「風化」によって徐々に小さくなっていきます。
世界遺産「グランドキャニオン国立公園(アメリカ)」の成り立ちを見てみましょう。
グランドキャニオンの最高標高は2,683mで、ほとんど砂漠ですが、魚類や貝類・藻類といった海洋生物の化石が多数発見されています。
これは一帯がかつて海底だったことを示しています。
最下層は約20億年前の火成岩や変成岩層で、その上に砂や土が降り積もり、18億~2億7000万年前の間に約40の堆積岩層が形成されました。
7,000万~3,000万年前に海底が3kmほど隆起し、コロラド川の侵食や風化を受けて全長446km・平均深度1,200m・最大深度1,600mという大峡谷に成長しました。
侵食・風化を受けて土地は削られ、深い谷を造りますが、やがて深い谷の周囲が削れ落ちて谷は広くなり、山も鋭い部分が削られて丸くなり、平坦な地形へと移り変わります。
一方、削られて細かくなった岩や石・砂といった砕屑物(さいせつぶつ)は川によって運搬されて海の底に堆積します。
堆積し、地層となった海底がまた隆起して山になり、侵食・風化を受けて谷を造り……
このような繰り返しを「地形輪廻(侵食輪廻)」といいます。
グランドキャニオンは堆積岩層を特徴としていますが、侵食や風化によって削られた砂はコロラド川に運ばれて、カリフォルニア湾の海底にふたたび堆積しています。
■岩石循環
今度は岩石に着目してみましょう。
火山などによって地中深くから運ばれてきたマグマが冷えた岩石を火成岩といいます。
火成岩が侵食・風化を受けて砕屑物となり、海に運ばれて堆積し、積もり積もると大きな荷重がかかって堆積岩になります。
堆積岩が地中深くに沈むと地熱によって温められ、組成が変わって変成岩となります。
さらに地下深くに引っ張り込まれるとやがて溶解してマグマに戻ります。
マグマが上昇することでまた火成岩に戻るわけですが、このようなサイクルを「岩石循環」といいます。
地球はこのように地形も岩石も生物のように生成消滅を繰り返しています。
逆にいえば、古い時代の岩石はとても見つかりにくいということでもあります。
ですからこうした侵食や循環のない小惑星には太陽系が誕生した頃の岩石がそのまま残されているということで、小惑星探査が行われているわけです。
ちなみに、地球上でも地球が誕生した46億年前より以前の粒子が隕石から発見されています。
こうした粒子をプレ・ソーラー粒子といいますが、70億年前の粒子も確認されています。
■カルスト地形
特殊な地形をいくつか紹介しましょう。
まずはカルスト地形です。
長い間、海に堆積したサンゴや貝殻・プランクトンといった生物の遺骸からできた石灰岩や、石灰岩が変成したドロマイト(苦灰岩)、火山灰が堆積した凝灰岩などの溶けやすい地層からなる地形です。
水に溶けやすいため地層がさまざまに侵食されて奇岩や石灰華段丘・洞窟を造るのが特徴です。
スロベニアのクラス(カルスト)地方にこのような地形が多いことから名づけられており、同地には「シュコツィアン洞窟群(スロベニア)」というカルスト地形の世界遺産があります。
カルストで見られる地形としては、大雨などによって一時的にできる川や湖に侵食されてできたドライバレー、柱のような岩=ピナクル、ギザギザした溝がついたカレン、カレンが林立したカレンフェルト、深い穴となったグライク、塔のようなタワー・カルスト、逆に大地が陥没したドリーネ、ドリーネが発達したウバーレやポリエなどがあります。
地下水や河川などに侵食された石灰質の洞窟(石灰洞)を鍾乳洞といいますが、その中ではつららのように垂れ下がる鍾乳石、下から盛り上がる石筍(せきじゅん)、両者がつながった石柱が見られます。
他にもさまざまな名称があり、流れているような形で固まった流れ石、曲がりくねったあぜ石、細いつらら状のストロー、幕状のカーテン、シャンデリアを思わせる石花、プールのような石灰華段と多彩です。
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■氷河地形
地球の環境の指標といわれているのが氷河です。
北極や南極が氷に覆われている時代を氷河時代といいますが(つまり現在も)、温暖化で4度の気温上昇があった場合、地上の氷河はすべて消え去るといわれています。
氷河の種類ですが、大陸を覆うような巨大な氷塊を「氷床」といいます。
現在、南極氷床とグリーンランド氷床があり、その周辺部からは数多くの氷河が流れています。
氷床の規模が小さくなった氷塊が「氷原」です。
南北パタゴニア氷原からは70本以上の氷河が流れ出していますが、アルゼンチンの世界遺産「ロス・グラシアレス国立公園」にある氷河の崩落で有名なペリト・モレノ氷河はそのひとつです。
流れない氷河が「氷帽」で、アイスランドの世界遺産「ヴァトナヨークトル国立公園」の氷帽からは約30本の氷河が流れ出しています。
新生代(6,600万年前~現在)に入って南極大陸の位置が極地に移動して氷河時代に入り、特に第四紀(約258万年前~現在)には寒い氷期と比較的暖かい間氷期を数万年ごとに繰り返すようになりました。
7万~1万年前まで続いた最新の氷期=最終氷期には陸上に氷床や氷原・氷帽・氷河といった形で大量の水が蓄積されたため海面水位が100m以上も下がり、世界各地が陸続きになりました。
一例がベーリング海峡で、アメリカのアラスカとロシアのシベリアの間が陸続きになり(ベーリング地峡)、ここを通って人類はアメリカ大陸に進出しました。
逆に1万~6,000年ほど前には氷床や氷河の氷が溶けて海面水位が100m以上も上がり、海岸線が陸地内部に進出しました(完新世海進/縄文海進)。
氷河によって様々な地形が現れました。
氷河地形としては、クレーター状に穴を穿った圏谷(けんこく)や、U字形に谷を削ったU字谷、取り残された険しい峰・ホルン、のこぎり状の山稜・アレート、えぐられた窪地・コリー、窪地にできた氷河湖、氷河によって削られた土や石が集まって層を作るモレーンなどが知られます。
イギリスの世界遺産「イギリス湖水地方」やイタリアの「ドロミーティ」、スウェーデンの「ラポニアン・エリア」、アメリカの「ヨセミテ国立公園」、オーストラリア「タスマニア原生地域」のクレイドル・マウンテン国立公園などは氷河地形で有名です。
特に美しい景観として知られるのがU字谷に海水が流れ込んだフィヨルドです。
最終氷期、北ヨーロッパのほとんどはスカンジナビア氷床(フェノ=スカンジア氷床)と呼ばれる厚さ数千mに及ぶ巨大な氷床に覆われていました。
スカンジナビア半島南西部ではスカンジナビア山脈の落ち込みに沿って氷床から氷河が数百本も流れ落ち、U字谷を掘り抜きました。
7,000~5,000年ほど前に氷床や氷河が消滅すると海面が上昇し、U字谷に海水が流れ込んでフィヨルドを形成しました。
こうして西ノルウェーでは500kmの範囲に200以上のフィヨルドが生まれましたが、その中でもっとも美しいといわれるフィヨルド地帯がノルウェーの世界遺産「西ノルウェーフィヨルド群-ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルド」です。
また、最終氷期に氷床で覆われていたスカンジナビア半島周辺は氷床が溶けると100m以上も隆起し、現在でも年10mmほどの早さで海面が下がりつづけています。
氷床の重さで沈み込んでいた大地が元に戻る現象で、地殻とマントルが氷と水のようにバランスを保つアイソスタシー(地殻均衡)の一種で、氷河・地殻・マントルがバランスを保つグレイシオ・ハイドロアイソスタシー(氷河性地殻均衡)によるリバウンド現象と考えられています(アイソスタティック・リバウンド=地殻均衡復元)。
特に「ヘーガ・クステン/クヴァルケン群島(スウェーデン/フィンランド共通」で大きなリバウンドが観測されています。
スウェーデンの「エーランド島南部の農業景観」のエーランド島もこうして隆起した島で、「ルーレオーのガンメルスタードの教会街」は隆起によって河口の位置が変わったことで多くの町民が新市街に移住し、旧市街(ガンメルスタード)は以前のまま保たれることになりました。
■隕石地形
成立過程において、火山も隆起も侵食もまったく関係のない地形に隕石が衝突してできた「クレーター」があります。
世界3大クレーターは、南アフリカのフレーデフォート・ドーム、カナダのサドベリー・クレーター、メキシコのチクシュルーブ・クレーターです。
世界最大のクレーターは上の動画にあるフレーデフォート・ドームで、20億2,300万年前に直径10kmほどの小惑星が衝突して直径約380kmの巨大なクレーターを生み出しました。
こちらは「フレーデフォート・ドーム(南アフリカ)」として世界遺産リストに登録されています。
サドベリー・クレーターは18億5,000万年ほど前の衝突痕で、直径は200km超と考えられています。
ただ、クレーターとしてはほとんど形を留めておらず、盆地となって地質に影響を残しています。
チクシュルーブ・クレーターは6,600万年前の恐竜絶滅の原因と考えられているものです。
クレーター跡はカリブ海の海中とユカタン半島の地下に痕跡が見られ、クレーターに沿ってセノーテと呼ばれる陥没湖が集中しており、セノーテ・リングと呼ばれています。
こちらはメキシコの世界遺産暫定リストに掲載されています。
また、タジキスタンの世界遺産「タジク国立公園[パミール山脈]」のカラクル湖はクレーターの中にできた世界最大の湖とされています。
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次回はいよいよ生命の誕生・先カンブリア時代に迫ります。