海外旅行には何を持っていけばよいのでしょうか?
これも当然「本人次第」ということになります。
これまでぼくが見た「もっとも荷物が少ない旅人」は、小型のショルダーバッグひとつという旅行者でした。
彼とはインドのデリーで出会ったのですが、そのバッグもとても小さいもので、東京で飲みに出掛けるにしても少ないだろという荷物でした。
中身は石けんとシャンプー、シャツが数枚のみ。
下着は水着で代用しているのでシャワー時に身体と一緒に洗っておしまい。
ビーチサンダルで旅しているので靴下もいらないというスタイルでした。
一方「荷物が多い旅人」は、大型のバックパック+中型のバックパック+ギター+PC+一眼レフカメラという人で、この程度の人はしばしば見掛けました。
音楽やスポーツ・写真等々をやる人はどうしても荷物が多くなってしまいますね。
スタイルは人それぞれですので、各自で決めていただくしかありません。
ここでは海外旅行者の標準的な持ち物を取り上げたいと思います。
○本記事の章立て
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海外旅行には「なくしたくないものは持っていかない」のが基本です。
持っていくものは「すべて消耗品」と考え、なくなった場合のことを考えてリストアップするべきでしょう。
そうでないと荷物にばかり気を奪われて旅に集中できませんから。
持ち物リストは後述しますが、主だったものは以下の5か所に分けて記しています。
このうち、身体・貴重品入れ・サブバッグ・メインバッグのいずれが盗まれても原状復帰できるように準備しています。
仮に散歩しているときに貴重品入れとサブバッグを盗まれても、メインバッグに予備現金やパスポートのコピー、カード・海外旅行保険の連絡先等の控えを入れてあればすみやかに対応できます。
メインバッグも含めてすべてを失っても、ネット上からデータにアクセスして各方面に連絡することが可能です。
こうしたことも考えて、今回5か所に分けてリストを作りました。
内容は一部重複していますが、そうしたものについてはいずれにも入れておいた方がよい、ということを意味します。
ここから不要なものを除き、必要なものを追加して自分自身の「5か所リスト」を作ってみてください。
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○1.身体
以上は普段身につけるもののリストです。
「すべて消耗品」との考えから、なくしたくない腕時計や靴は避けるべきでしょう。
ポケットに入れる財布は盗まれてもよい「見せ財布」です。
ここにその日使う程度の小銭を入れておきます。
スリはどこにでもいるもので、プロのスリに目を付けられたら防ぐのは非常に難しいです。
ぼくは何度かやられましたが、「あいつはスリだ!」とわかっていて警戒していてもすられました。
すられたことを気づくことすらできないほど鮮やかな手口でした。
○2.貴重品入れ(マネーベルト、セキュリティポーチ、シークレットケース)
「貴重品入れ」はマネーベルト、セキュリティポーチ、シークレットケースなどとも呼ばれるもので、衣服の下に装着して隠す形で身につけます。
もっとも重要なものはここに入れておきます。
治安のよい先進国では必要ないこともありますが、そんな場合でも貴重品入れをサブバッグに入れる形で使っています。
実は先進国の方がスリや凶悪犯罪は多かったりします。
有名な先進国だからといって安心せずに情報を集める必要があるでしょう。
貴重品入れは腹巻きタイプ、首掛けタイプが主流ですが、どちらでも構いません。
ぼくは両方使ってみて腹巻きタイプを使用しています。
なかには太ももや脇の下に入れるタイプもありますが、容量は少なくなっています。
海外のドロボウは旅行者がこのような貴重品入れを使っていることを知っています。
しかしながら、貴重品入れを強奪するような強盗に出くわしたらどのみちすべての荷物を奪われるので、この点を気にする必要はないでしょう。
カバン底に隠す方法などもありますが、バッグごと盗まれたら意味がありません。
やるとしたら隠す場所を備えた特殊な靴やベルトを買うことですが、ぼくはそこまでの必要性を感じません。
カード類ですが、ぼくはパスポートカバーにパスポートと一緒に入れています。
最近はスキミング防止やカード収納機能が付いたパスポートカバーがあるのでそういったものを使用しています。
○3.サブバッグ
サブバッグは、メインバッグをホテルに置いて出掛けるときや、乗り物に乗るときにメインバッグを預けて座席に持ち込むためのバッグです。
貴重品入れに次ぐ大切なものをここに入れて、肌身離さず身につけます。
PCやカメラなど、衝撃に弱いものもサブバッグに入れて運ぶとよいでしょう。
街に出掛けるとき、PCやカメラをホテルに置いていくことも多いと思います。
そんなときはホテルのセキュリティ・ボックス(簡易金庫)を使用したり、それらをメインバッグに入れて南京錠をかけて外出します。
サブバッグを持っていかないときは、サブバッグに南京錠をかけ、ちょっとお出掛け用のトートバッグなどで出掛けます。
サブバッグに南京錠とダイヤル錠のどちらでカギをかけるかですが、南京錠はカギ(キー)の管理が必要になる一方で素人には開けにくく、対してダイヤル錠はカギが必要ない代わりに素人でも十数分で簡単に開けることができます(3ケタの場合、全通り試しても十数分程度しかかからない)。
ぼくの場合、サブバッグはつねに身につけているのでダイヤル錠、メインバッグには南京錠を使用しています。
そしてサブバッグを置いて出掛けるときはメインバッグの南京錠を転用します。
もっとも、プロにかかったら南京錠もすぐに開いてしまいます。
ぼくはカギをバッグに入れたままカギをかけるという失敗を何度かしていますが、金ノコ(金属ノコギリ)を借りて錠を数分で切断したことがありますし、いろんなキーをガチャガチャ試して開いてしまったこともあります。
気休め程度ですが、やはり錠前は必要です。
海外で車を運転する場合は警察署で国際運転免許証を発行してもらいます。
国によっては日本の運転免許証も必要になるので、事前に調べるか、一緒に持っていくとよいでしょう。
注意したいのは、持込手荷物としてサブバッグを航空機内に持ち込むときです。
アーミーナイフやオイルタンク式ライターは持ち込めませんし、液体を持ち込む場合は100ml以下の容器に入れ、そうした容器群を1L以下あるいは20×20cm以下のジッパー付透明プラスチック袋に入れなければなりません。
ぼくはサブバッグにアーミーナイフを入れたままにしていたことを忘れて没収されたことがあります。
そんなときはサブバッグごと預入手荷物(受託手荷物)にしてしまう、空港から郵送する、機長預かりを頼み込むなどの方法がありますが、当然チェックインする前に確認しておくべきです。
サブバッグやメインバッグの選び方、機内持込手荷物の注意点については下記を参照してください。
[関連記事]
制限のある手荷物[国際線]について(ANA)
機内に持ち込み可能なお手荷物について(JAL)
○4.メインバッグ
メインバッグは移動中に必要としないものを入れるバッグです。
ここに入れるのはすべて消耗品なので、使用・消耗・盗難等でなくなっても現地で調達が可能です。
言い換えれば、消耗品とは言い難いもの、海外で調達が難しいものをサブバッグに入れることになります。
一例が電源プラグ変換アダプターで、たいしたものではありませんが、これをなくすと海外で手に入れることができず厄介なので、ぼくはサブバッグとメインバッグにひとつずつ入れています。
電源プラグ変換アダプターは国や地域によってコンセントの形が違うので必要になるものです。
電源プラグ変換アダプターひとつではコンセントも1か所しか確保できませんが、ここに複数口を持つ延長コードを組み合わせることで多くのコンセントが使用可能になります。
薬については下記の記事を参照してください。
[関連記事]
下記については近年、不要になってきています。
一応参考までに記しておきましょう。
なお、旅行グッズは以下のようなネット店で検索・購入できます。
○5.ネット上
重要なデータはメールやクラウド・データとしてネット上にも保存しておきましょう。
仮にすべてを盗まれたりしても、ネットでアクセスすればそこから原状復帰が可能になります。
PCや写真のデータについては、PCやSDカードが盗まれたり故障したりすることも考えて、外付けHDDにデータを残しておきましょう。
ぼくは海外で仕事をすることもあり、PC2台、外付けHDD2台を用意しています。
PCは何度か故障して本当に泣かされました。
これらに加えてクラウド上にデータを保存すればベストでしょう。
写真についてはGoogleフォトやAmazonプライムのプライム・フォト等でもデータの保存が可能です。
Googleフォトは無料で容量も無制限ですが1,600万画素以内(それ以上は自動圧縮)の制約があり、プライム・フォトは会費登録が必要ですが容量・画素数ともに無制限です。
GoogleのGoogleドライブ、MicrosoftのOneDrive、AppleのiCloud、Dropbox Inc.のDropboxといったオンラインストレージ(クラウドストレージ)はネットワーク上にファイルのダウンロードやアップロードができるクラウドサービスです。
数GBまで無料で使用できるサービスが多いので、とりあえずアカウントを作っておくとよいでしょう。
海外に行く際に重要なのが「オフライン設定」で、これをしておかないとネット環境がない場所では使えなくなってしまいます。
それぞれのデバイスでファイルの設定を「オフラインアクセスを許可」「オフラインで使用可能にする」などに指定しておきましょう。
注意点として、オンラインストレージからファイルを消すとPCやスマホなど同期しているすべての場所からファイルが消えてしまいます。
これを避けるために、一応外付けHDDなどにデータを保存しておいた方が安全かもしれません。
[関連サイト]
Googleドライブ OneDrive iCloud Dropbox
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盗難等々、万一が起こったときに連絡する連絡先を一覧表にしておきましょう。
○連絡先一覧表の表記事項
これを表を紙に印刷して貴重品入れ・サブバッグ・メインバッグそれぞれに保管し、ネット上にもデータを保存しておけば、何かが起こってもすみやかに連絡が可能です。
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○付箋
ぼくは大きめの付箋と小さめの付箋をつねに持っていて、たとえば電車やバスのチケットを買うとき、現地の言葉で地名や日付・時間を書いて窓口に渡したりしています。
目的の商品を買ったりレストランでオーダーするときや、アドレス交換などにも便利です。
同じことを最近はスマホやタブレットでしたりもしています。
○パスポートカバー
スキミング(カードデータの情報抜き出し)防止&カード収納機能付きがオススメです。
このカバーにパスポートとカードを入れて貴重品入れに収めましょう。
○モバイルバッテリー
スマホの予備バッテリーです。
移動中でも地図を見たり音楽を聴いたりメモを取ったりと、スマホはしばしば使うものだと思います。
バッテリーが切れると地図さえ見れなくなってしまうので、予備のバッテリーは必須です。
○アーミーナイフ
ナイフ、缶切り、栓抜き、コルク抜き、ハサミ、ドライバー等々の機能を兼ね備えたアーミーナイフはやはり便利です。
実際に使用する場面がそれほどあるわけではありませんが、ひとつメインバッグに入れておくといざというときにとても役立ちます。
ただ、航空機内には持ち込めないのでその点は十分にご注意を。
私はサブバッグに入れておいたのを忘れて、ひとつ取り上げられてしまいました。
○ソフトバケツ&洗濯紐
旅行期間が長くなると自分で洗濯をすることも多々あります。
そんなときに便利なのが折り畳むことのできるアウトドア用あるいは釣り用のソフトバケツです。
ゴシゴシ手洗いすると衣服は早く傷むので、ぼくはこのバケツに洗剤とお湯と洗濯物を入れ、ひと晩浸けることで洗濯しています。
ドミトリーがあるようなゲストハウスにはたいてい洗濯場と物干しスペースがあるものですが、中級以上のホテルにはそうした施設がなくて洗濯が有料になることもしばしばです。
そんなときでも洗濯紐があればちゃちゃっと洗って室内に干すことができますし、下着だけでも自分で洗いたいor室内に干したいという女性にもオススメです。
洗濯物を室内に干すときは、エアコンや送風機・扇風機等々の風に当てると早く乾きます。
風がまったくなくて湿度も高いようであれば、備え付けあるいは手持ちのドライヤーやアイロンである程度乾かしてしまうのもひとつの手段です。
○超軽量ダウン
ぼくは超軽量・超小型のダウンをつねに持ち歩いています。
熱帯地方でも寒い日や山岳など寒い地方がありますし、エアコンが効きすぎている乗り物も少なくないので重宝しています。
本格的な防寒具である必要はないので、手洗いしたり雑に扱えるものがベターです。
ユニクロのウルトラライトダウンが有名ですが、さまざまなメーカーが出しているので好きなものを選んでください。
○小型の蚊取りマット、防虫剤
途上国には蚊やハエが多く、しかもマラリアやデング熱・日本脳炎・黄熱などを媒介するということで、なるべく刺されたくないものです。
注意深い人は、外出するときは虫除けスプレー、寝るときは蚊帳(かや)+蚊取り線香を併用していたりしますが、ぼくはスプレーがあまり好きではないし、ファンの風を防ぐ蚊帳も使いたくありません。
ということで、蚊取りマットや蚊取りスプレーとファンorエアコンですごしています。
日本の蚊取りマットは小さいうえに非常に優秀です。
効き目が高いし、数十日・数百日も取り替え不要なものがあったりします。
こうしたものはなかなか海外にはないので、取替カートリッジと共に日本で入手しておくべきでしょう。
なお、メインバッグやサブバッグの中に変な虫が入らないように、ぼくは1年など長期使用できる防虫剤も入れています。
○自転車用ワイヤーロック
バッグ等を固定するためのワイヤー式ロックです。
空港や長距離電車等で長時間同じ場所に居続けるときに使用します。
頑丈な自転車・バイク用がオススメです。
ダイヤル式の場合、3桁だと15分ほどで全通り合わせられてしまうので、4桁以上の方がベターです。
○スマートタグ(スマートトラッカー)
近年需要が高まっているスマートタグあるいはスマートトラッカーは、スーツケースやバッグ、財布などに入れたり取り付けたりして使用する位置情報追跡装置です。
条件さえそろえばスマホやPCでその位置を確認することができるので、紛失・盗難・ロストバゲージ(空港で預けた荷物が行方不明になって戻らないトラブル)などに際して対処しやすくなります。
もちろん、場所がわかっても問題が即座に解消されるわけではありませんが、情報提供がなんらかの役に立つ可能性がありますし、状況的・精神的に落ち着くかもしれません。
スマートタグはGPSで場所を特定しているのではなく、Bluetoothの通信を利用しているため、多数のユーザーがBluetooth通信を行っている場所ほど精度が上がります。
AppleのAirTag、TileのMateやPro・Slim・Sticker、AnkerのEufy Security SmartTrackシリーズなどがよく知られていますが、iPhoneユーザーとAndroidユーザーではオススメ商品も異なるので調べてみてください。