2023年２月６日早朝、トルコ南東部を震源とするM7.8の大地震が発生しました。

これまでに４万人以上の犠牲者と約120万人の負傷者が確認されており、なおも救出活動が続けられています。

UNESCO（ユネスコ＝国際連合教育科学文化機関）のオードレ・アズレ事務局長は声明を出し、人命救助を第一としながら文化施設や世界遺産に対する支援を表明しています。

すでに初期調査を開始しており、トルコの世界遺産「ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観」やシリアの世界遺産「古都アレッポ」で深刻な被害が報告されています。

■Earthquake in Syria and Türkiye: UNESCO offers support（UNESCO）

今回はこのニュースをお伝えします。

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シリアの世界遺産「古都アレッポ」のアレッポ城とその周辺。城壁やモスクなどが崩れている様子が確認できます

現地時間２月６日午前４時17分、トルコ－シリア国境に近いトルコ南東部の都市ガズィアンテプの西34km・深さ17.9kmを震源とするM7.8の地震が発生しました。

同日13時24分には最初の震源地の100kmほど北に位置するエキノズーの南東5km・深さ10.0kmを震源にM7.5の余震が一帯を襲いました。

以後、2,000回を超える余震が繰り返されています。

WHO（世界保健機関）は被災者について2,600万人に達するとの推計を出しており、この記事を書いている時点で４万人以上の犠牲者と約120万人の負傷者が確認されています。

トルコのエルドアン大統領が推定220万人が避難していると発表している一方で、シリアでは反政府勢力の支配地域も多くハッキリとした数字はわかっていません。

UNESCOのオードレ・アズレ事務局長は声明を出し、犠牲者やその家族に哀悼の意を表し、その思いが被災者とともにあることを述べて支援を表明しました。

そしてICOMOS（イコモス＝国際記念物遺跡会議）や関係当局と連携して初期調査を開始し、特にトルコの世界遺産「ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観」とシリアの世界遺産「古都アレッポ」の被害状況を懸念していることを伝えました。

トルコでは震源地に近いガズィアンテプ県やカフラマンマラシュ県で大きな被害が確認されています。

ガズィアンテプにはガズィアンテプ城や地下水利システムといった貴重な文化遺産が数多くあり、後者は世界遺産の暫定リストにも記載されています。

特にガズィアンテプ城で大きな被害が報告されており、城壁がかなりの規模で崩壊しています。

その270kmほど東に世界遺産「ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観」があるのですが、ディヤルバクル城塞の城壁や聖ジョージ教会、エヴセル庭園のいくつかの建物で一部が崩れたり亀裂が入っているのが確認されています。

その被害報告と対応については今年９月に開催される世界遺産委員会で協議される予定で、場合によっては危機遺産リストに登載されることになるかもしれません。

世界遺産「アルスランテペの墳丘」「ネムルト・ダー」「ギョベクリ・テペ」の３件はそれよりも震源に近いのですが、アルスランテペで一部のレンガが滑り落ちたり仮設屋根が落ちたりしたものの遺跡に大きなダメージはなく、他の２件に被害はほぼ見られないということです。

UNHCR（国連難民高等弁務官事務所）のPR動画、トルコ・シリア大地震：被災地に支援を

シリアの世界遺産について、「古都アレッポ」では城壁のあちらこちらが崩れており、オスマン帝国時代の建物が倒壊したようです。

また、歴史地区の市壁の塔が倒れたほか、歴史的なスーク（市場）やモスクといった建物にも被害が出ています。

世界遺産「パルミラの遺跡」「クラック・デ・シュバリエとカラット・サラディン」についてはほとんど被害はなく、「シリア北部の古代村落群」の詳細は伝わっていません。

シリアにある世界遺産６件は内戦の影響ですべて危機遺産となっていますが、被害の大きい「古都アレッポ」については世界遺産委員会で報告・協議が行われる予定です。

なお、今回の報告は簡易的な初期調査の結果であって、今後建物の内部や構造などに被害が発見されるかもしれません。

余震はなおも続いており、これらによる被害の拡大が懸念されています。

［関連サイト＆記事］

トルコ・シリア大地震 緊急支援のお願い（UNHCR＝国連難民高等弁務官事務所）

トルコ・シリア地震ニュースおよび寄付先（MSF＝国境なき医師団）

トルコ・シリア大地震 緊急子ども支援（Save the Children＝セーブ・ザ・チルドレン）

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