世界遺産NEWS 14/04/26：富岡製糸場、世界遺産登録へ一歩前進

４月26日未明、世界文化遺産候補地の調査を行っているICOMOS（イコモス＝国際記念物遺跡会議）が調査結果を発表し、日本の世界遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」に対して「登録」の勧告を行いました。

その前に、世界遺産登録の方法をざっと復習しておきましょう。

世界遺産はおおよそ下記の手順で登録が行われます。

県や市町村といった自治体が政府に世界遺産登録を希望する
政府は今後５～10年で登録が可能な物件をUNESCO（ユネスコ。国際連合教育科学文化機関）世界遺産センターに推薦し、物件を暫定リストに登録する
暫定リスト記載の物件で準備が整ったものについて、登録を目指す年の前年２月１日までに登録推薦書をUNESCOに提出する
文化遺産はICOMOS、自然遺産はIUCN（国際自然保護連合）、複合遺産は両者が現地調査を行って評価報告書を作成し、登録・情報照会（追加資料の提出で再審査が可能）・登録延期（物件の構成を再考）・不登録のいずれかの判定を行う
報告書をもとに、世界遺産委員会で登録の可否を決定する

今回の登録勧告は上の「４」にあたるもの。

世界遺産リストへの登録がふさわしいという判定で、ICOMOSが登録勧告を行った物件が世界遺産委員会で覆ることはほとんどありません（情報照会・登録延期・不登録勧告が覆ることはあります）。

ということで、「富岡製糸場と絹産業遺産群」は世界遺産登録に向けて大きく前進しました。

関係者のみなさま、おめでとうございます！

勧告内容ですが、文化庁の報道資料から一部を抜粋しましょう（「我が国の推薦資産に係る世界遺産委員会諮問機関による評価結果及び勧告について(第二報)」より）。

■顕著な普遍的価値について

明治時代初期まで遡る富岡製糸場は、二つの養蚕の教育施設及び蚕種倉庫を含む関連施設とともに、伝統的な生糸生産から急速に最善の大量生産手法に到達したことを表している。日本政府は、フランスの機械及び工業の専門的知識を導入し、群馬県において生産過程システムを作り上げた。すなわち蚕種の生産、蚕の飼育、大規模な機械化された生糸生産施設という過程である。一方、モデル工場としての富岡製糸場と関連資産は、１９世紀末期に養蚕と日本の生糸産業の革新に決定的な役割を果たし、日本が近代工業化世界に仲間入りする鍵となった。

■勧告

イコモスは、評価基準(ⅱ)及び(ⅳ)の下に「富岡製糸場と絹産業遺産群」を世界遺産一覧表に記載することを勧告する。

正式には６月15～25日にカタールのドーハで開催される第38回世界遺産委員会で登録の可否が決定します。

楽しみですね!!

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