UNESCO（ユネスコ＝国際連合教育科学文化機関）三大遺産事業のひとつである「世界の記憶（世界記録遺産／ユネスコ記憶遺産）」。

日本UNESCO国内委員会は2017年に登録を目指す物件を公募していましたが、16件の応募があったことが発表されました。

９月までにここから２件を選出してUNESCOへの推薦を行う予定です。

もともと世界の記憶は、国はもちろん組織や個人からの申請を受け付けており、２年に一度開催されるIAC（国際諮問委員会）で登録の可否を決めていました。

しかし、申請数が多すぎて処理が追い付かなくなったことから１国２件までに制限されるようになりました（ただし複数国による共同推薦物件は含みません）。

日本UNESCO国内委員会は2017年のIACで登録を目指す２件を選出するために2015年３月２日～６月19日まで候補物件を公募していましたが、16件の申請がありました。

以下にそのリストを掲載します（五十音順。括弧内は申請者）。

1. 伊能忠敬測量記録・地図（千葉県香取市）
   
2. 黄檗版大蔵経版木群（京都府宇治市、宗教法人萬福寺）
   
3. 菊陽町図書館少女雑誌村﨑コレクション（熊本県菊陽町図書館）
   
4. 上野三碑（上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会）
   
5. 国宝 紙本著色北野天神縁起 八巻 附 紙本墨画同縁起下絵 一巻、梅樹蒔絵箱 一合（北野天満宮）
   
6. 重要文化財 徳川家康関係資料 洋時計［革箱付］（宗教法人久能山東照宮）
   
7. 信長公記（建勲神社、織田裕美子）
   
8. 杉原リスト －1940年、杉原千畝が避難民救済のため人道主義・博愛精神に基づき大量発給した日本通過ビザ発給の記録（岐阜県八百津町）
   
9. 全国水平社創立宣言と関係資料（崇仁自治連合会、公益財団法人奈良人権文化財団）
   
10. 智証大師円珍と唐代の過所（宗教法人園城寺）
    
11. 知覧に残された戦争の記憶 －1945年沖縄戦に関する特攻関係資料群－（鹿児島県南九州市）
    
12. 東慶寺文書（宗教法人東慶寺）
    
13. 広島の被爆作家による原爆文学資料 －栗原貞子「あけくれの歌［創作ノート］」、原民喜「原爆被災時の手帖」、峠三吉「原爆詩集［最終稿］」－（広島文学資料保全の会、広島県広島市）
    
14. 普勧坐禅儀［付 普勧坐禅儀撰述由来］（大本山永平寺）
    
15. 水戸徳川家旧蔵 キリシタン関係史料（公益財団法人徳川ミュージアム）
    
16. 水戸徳川家旧蔵『大日本史』編纂史料（公益財団法人徳川ミュージアム）
    

日本UNESCO国内委員会は有識者会議を開催して９月までに２件に絞り込み、2016年３月までにUNESCOに推薦する予定です。

そして推薦物件は2017年夏に開催されるIACで登録の可否が決まります。

なお、日本はこれまで以下３件を登録しています。

• 山本作兵衛コレクション、2011年
  
• 慶長遣欧使節関係資料（日本／スペイン共通）、2013年
  
• 御堂関白記、2013年
  

また、今年2015年10月４～６日にはUAEのアブダビで第12回IACが開催されます。

ここで世界の記憶を目指す87件について審議が行われますが、日本からは以下２件の登録が申請されています。

• 東寺百合文書
  
• 舞鶴への生還 －1945～1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録－
  

日本に関するものとしては中国が以下を申請しています。

日本人としては複雑な思いです。

• 大日本帝国軍の性奴隷「慰安婦」に関するアーカイブ
  
• 南京虐殺のドキュメント
  

新登録物件が出揃ったら「世界遺産NEWS」でリストを紹介する予定です。

なお、世界の記憶の詳細に関しては以下を参照ください。

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