私的旅行術 現地編5:海外で迷わず町歩きをする方法-地図アプリの使い方
自分がいったいどこにいるのか?
目的の場所にどのように行ったらいいのか?
海外の自由旅行でつねに頭を悩ます問題です。
しかし、地図アプリが登場してこの問題は大きく改善されました。
現地編の第5回は、地図アプリの使い方を中心に、迷わず町を歩く方法を紹介します。
○本記事の章立て
- 地図アプリとGPS
- オススメ地図アプリ&サイトの使い方:MAPS.ME、Googleマップ
- 地図を見ないで町歩きをするコツ
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■地図アプリとGPS
スマホやスマートタブレットの地図アプリは非常に便利です。
地図を表示するだけでなく自分の位置も示してくれるのですから、道に迷ったりすることはほとんどなくなります。
GPSが付いているスマホでオフラインマップを事前にダウンロードしておけば、ネット環境がなくても自分の位置がしっかりと表示されます。
GPSが付いていないタブレットやiPod touchなどの場合でも、Wi-Fiがつながっていればかなり正確に位置が表示されますし、GPSレシーバーを持ち歩けばGPS搭載機と同じ感覚で地図が使えます。
ただ、GPSレシーバーはそれなりの値段がするので、GPSを搭載した格安スマホを利用するのも手ですね。
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■オススメ地図アプリ&サイトの使い方
地図アプリや地図サイトはたくさんありますが、ここではふたつの地図の使い方を簡単に紹介します。
どちらかではなく、両方使うのがオススメです。
- オフライン地図:MAPS.ME(マップス・ミー)
- オンライン地図:Googleマップ(グーグル・マップ)
○オフライン地図:MAPS.MEの使い方

まずはMAPS.MEのダウンロードサイトです。
○公式サイト&ダウンロードサイト
オフライン地図の特徴は、事前に地図をダウンロードしておく点にあります。
地図がスマホやタブレットに保存されるため、ネット環境がなくても使えます。
海外で現地でeSIMやSIMカードを購入したりモバイルWi-Fiルーターを使う人はつねにネット環境があるのでオンライン地図だけでも構わないのですが、なんらかのトラブルでネットがダウンしてしまうと途端に使えなくなってしまいます。
やはりひとつはオフライン地図を用意しておきたいところです。
後述するGoogleマップもオフライン地図として使う方法はあるのですが、国が選択できないうえに容量が非常に大きく、またダウンロードできない地域もあるということでなかなか使い勝手が悪かったりします。
MAPS.MEはオフライン地図でダウンロードしておく必要はありますが、国や地域の選択が容易で容量も非常に小さくなっています。
ですからGoogleマップの予備としてもオススメの地図アプリです。
基本的な機能をザッと紹介しておきましょう。
・初期設定
最初に、メニューの中から「マップをダウンロード」を選んで必要な地図をダウンロードします。
世界中の地図をダウンロードしておきたくなるのですが、たくさん選ぶと数GBにもなりますし、地図は定期的に更新しなければならないので注意が必要です。
・スポット検索&周辺検索
MAPS.MEは観光名所や建物・施設等の掲載件数が非常に多い点が特長です。
目的地を検索する場合は虫眼鏡マークをタップして地名や店名等を入力してスポット検索をします。
日本語ではヒットしないことも多いですが、そんなときは英語で検索しなおします。
検索して出てこなくても、その場所を拡大すると別の名前や言語で登録されていることも少なくありません。
検索画面で「カテゴリー」を選ぶと、表示している地図の周辺の建物をジャンル別に表示します。
・ルート検索&ナビゲーション
矢印マークはルート検索&ナビゲーションです。
自動車・自転車・徒歩を選択し、地図上から「出発地」と「へのルート」となる建物をタップして指定すると、オススメのルートと所要時間を表示します。
現在地からであればナビゲーションが使えます。
・場所のマーク=保存
場所をマークしておきたいときは、その場所をタップして「保存」を選びます。
目的の場所に何も描かれていないときは、その空間をロングタップ(長時間タップ。ホールド)すると「不明な場所」がドロップされるので、それを「保存」します。
「不明な場所」は「ブックマークを編集」で内容を書き換えることができます。
保存した場所は星マークの「マイロケーション」で一覧表示できるほか、マークを再タップすると削除できます。
・場所を人に知らせる=共有
「共有(位置情報を共有する/その他の共有)」を選ぶとその場所をメモしたり、メールやFacebook、Twitter等で送信・発信することができます。
場所を人に知らせるときに便利な機能です。
・新たな建物を加える=場所の追加
メニューから「地図上に場所を追加」を選ぶと新しい建物を地図上に描くことができます。
・現在地の表示と交通状況
拡大・縮小を表す「+・-」の下にある目玉のようなマークをタップすると現在地に飛びます。
また、信号マークをタップすると現在の交通状況が表示されます。
○オンライン地図:Googleマップの使い方

Googleマップのダウンロードサイトはこちらです。
○公式サイト&ダウンロードサイト
Googleマップは基本的にネット環境がある場所で使うオンライン地図です。
このアプリ&サイトは単なる地図としてだけでなく、以下のような使い方ができて非常に便利です。
- バスや地下鉄の路線情報が充実している
- 建物の住所や電話番号・webサイト・営業日・営業時間・値段・写真・クチコミ情報等を確認できる
- 航空写真やストリートビューで周辺の状況を写真で確認できる
- リアルタイムで交通情報が確認できる
- 地図をダウンロードすればオフラインでも使える(できない場所もある)
- オリジナルの地図が作れる
- Googleアカウントを使えばPCとスマホやタブレット間で簡単に情報交換ができる
ぼくはメインでGoogleマップを使っていて、予備にMAPS.MEといった感じです。
以下では海外旅行で特に役に立つと思われる機能を簡単に紹介していきましょう。
・バスや地下鉄の路線情報を表示する
地図上で地下鉄の駅(メトロ・マーク)やバス停(バス・マーク)をクリック/タップすると駅名・バス停名を表示するパネルが現れ、地図上にルートが浮かび上がります。
これで地下鉄やバスのルートがわかるほか、パネルで路線名や時刻等も確認できます(表示されない場合もあります)。
情報はアプリよりもwebサイトの方が詳細です。
・建物の住所や電話番号・webサイト・営業時間・値段・写真・クチコミ情報等を確認する
地図上の建物等をクリック/タップすると、webサイトでは左上にサイドパネル、アプリでは下にパネルが現れて地名が表示されます。
このパネルの中に写真や住所・webサイト・電話番号・営業日・営業時間・値段・評価・クチコミ等の情報が表示されます。

・航空写真やストリートビューで周囲の状況を写真で確認する
写真の中を町歩きするストリートビューで周辺状況が確認できます。
地図でホテルや目的地の位置を確認してもズレていることもあったりします。
ストリートビューで目的地の外観や周囲の状況を確認しておけば間違いがありません。
webサイトの場合、地図上に表示される黄色い人物像=ペグマンをクリックするとストリートビューで表示できる道路が青く表示されます。
青部分をクリックするとストリートビューに移行します(ペグマンをドラッグ&ドロップしても可)。
アプリの場合、通りをロングタップすると地名が現れます。
地名パネルをスワイプして引き上げると写真が現れますが、この写真をタップするとストリートビューに移ります。
写真がなければストリートビューはありません。
目的地周辺で見るために、必要に応じて画面写真を撮影してます(PCでは「Prt sc」、スマホでは「スクリーンショット」)。
左上に出る「←」をクリック/タップすると地図に戻ります。
航空写真の場合、webサイトでは画面上の「航空写真」、アプリの場合はメニューの「航空写真」をクリック/タップすると地図から航空写真に変わります。
「地図」あるいは「地形」をクリック/タップすると元に戻ります。
・地図をダウンロードしてオフラインで使う
こちらはアプリのGoogleマップにログインして使う機能です。
地図が必要な場所の地名を検索窓で検索するか、地図上の地名をタップします。
地名が下段のパネルに表示されるので、このパネルをスワイプして引き上げます。
パネルの中の「ダウンロード」をタップし、拡大・縮小して必要な地図の範囲を決めてダウンロードします。
ダウンロードしたオフライン地図は有効期限内に限って使用することができますが、自動更新を設定しておくことも可能です。
・マイマップでオリジナルの地図を作る
GoogleマップのwebサイトにGoogleアカウントでログインするとオリジナルの地図が作成できます。
サイドパネルから「マイプレイス」→「マイマップ」をクリックして「地図の作成」を選びます。
一例ですが、下はベトナムの世界遺産「古都ホイアン」の地図です。
枠線の範囲が「資産」と呼ばれる世界遺産区域で、訪ねる場所をマークしています。
これを「マイマップ」に保存し、スマホでGoogleマップにログインすればスマホで読み込むことができます。
また、下の地図のように一般に公開することもできますし、メンバー同士でのみ共有することも可能です。
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■地図を見ないで町歩きをするコツ
地図アプリを使うと言っても四六時中地図を見ているとスムースではありませんし、慣れていない観光客だということをアピールしてしまいます、
また、治安のよくない場所ではスマホやタブレットなどのデバイスも出したくありません。
ということで、できるだけ地図を見る回数は減らしたいものです。
ここでは地図をなるべく見ないで町歩きをするコツを紹介します。
1.頭の中に地図を描く
目立つ建物と大通りだけでいいので、だいたいで頭の中に地図を描きます。
ポイントは、本物の地図と同じように上を北に固定すること。
そのうえで自分のいる位置と目的地をポイントします。
細かい通りを覚える必要はありません。
たとえば駅やバス停・大通り・ランドマークとなる建物等を頭の中の地図に配置し、上(北)を固定して歩くごとに自分のいる位置を動かしていきます。
できれば大通りの名前を「Muなんとか」といった具合にだいたいで覚えておきます。
通りの名前は交差点付近に必ず書かれていますし、海外では住所は道路の名前で表されるので建物の住所を見てもわかります。
2.ランドマークとなる建物を覚える
それぞれの土地にある目立つ建物=ランドマークを覚えておきます。
東京スカイツリーや東京タワーのようなどこからでも見える建物があればベストです。
頭の中の地図に加えて、その建物の見え方で自分の位置を確認していきます。
そのような建物が事前に見つからない場合は、現場に立ってランドマークになりそうな建物を探します。
3.曲がった角を覚える
通過した主要な交差点や曲がった角を覚えておくと、迷ってもすぐに場所を把握することができます。
特に帰ってくる予定があるようなら、帰ってくるときに目にする角度から眺めてその映像を覚えます。
交差点には必ず名前が付いているので名前で覚えても構わないのですが、ぼくは映像の方が簡単だし覚えやすいのでそうしています。
映像で覚えるにも2種類の覚え方があります。
- 目立つ建物を覚える
- 全体の映像と雰囲気をなんとなく頭に入れる
特に後者がオススメです。
覚えるといっても暗記をするようにキッチリ覚える必要はありません。
「こんな感じか」と全体の雰囲気を把握しておけば、同じ交差点に戻ってきたときに「あ!」と気づくことができます。
ぼくはこうしてなんとなく覚えておいた交差点を数年後に歩いて「来たことある!」と思い出したことが何度もあります。
こういう経験も楽しいものです。
4.方角を把握する
頭の中に地図が描かれていれば、正確な場所がわからなくても自分の位置と方角がおおよそわかっていれば先に進めます。
コンパスや地図・コンパスのアプリがあればいいのですが、ないときは太陽の方向と時間で方角を特定します。
12時というのは太陽が真南にある時刻のことを言います(正確には標準時子午線が走っている場所においてですが)。
そして太陽は1日で1周するので、1日に360度、1時間に15度動くことになります。
ですから12時から何時間ずれているか調べれば方角がわかります。
たとえば現在9時であれば3時間後に太陽は真南に到達するので、いまの位置から3×15=45度西の方向が南になります。
現在15時であれば、逆に太陽から45度東の方角が南です。
太陽が見にくい場合は影を見て把握します。
東と西のおおよその方角は太陽が昇ったり沈んだりする方向なのでだいたいわかるでしょう。
ただし、中国のウルムチのように標準時となる場所(ウルムチなら北京)から大きくずれている場所では方角のずれも大きくなります。
夜は、北半球なら北極星が北の目印になります。
ただ、北極星はそれほど明るくないので、「北斗七星のヒシャクの口が開いた方向に5倍延長した位置に天の北極がある」と覚えた方がよいかもしれません。
南半球の場合、南を示す南極星にあたる星は暗すぎるので、「南十字星と小マゼラン雲を結んだ直線の中央やや下に天の南極がある」と覚えます。
詳細は検索してみてください。
5.道を尋ねる
自力で到達できそうにない場合は早めに道を尋ねます。
なるべく店の人やその場所の住人を選びます。
身元が判明している人なら信用できますし、道にも詳しいはずです。
尋ねる際は単純に目的地を聞くのではなく、頭の中の地図に結びつける形で尋ねます。
最終目的地ではなく、目印となる建物や大通りまでの行き方を尋ね、自分の位置を正確に把握するように努めます。
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次回は治安情報の入手法や治安の判断法を紹介します。