私的旅行術 準備編1:パスポートとビザの種類・取り方、出入国
シリーズ「私的旅行術 準備編」では、海外旅行の渡航前の準備に関する技術を紹介したいと思います。
今回は海外旅行で必ず必要になるパスポート(旅券)とビザ(査証)について解説します。
○本記事の章立て
- パスポート=旅券とは何か?
- ビザ=査証とは何か?
- 電子渡航認証とイエローカードについて
- 特殊な入国事情のある国々の例
- オーバーステイとビザラン
- 入国・出国の方法
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■パスポート=旅券とは何か?
パスポートは各国政府が発行する国籍や氏名・身分の証明書です。
海外に行く際には国籍のある国のパスポートを持参しなければなりません。
日本のパスポートは都道府県のパスポートセンターや市区町村の役所で発行しています。
海外に行く前に必ず取得しておきましょう。
なお、現在パスポート申請のオンライン化が進められており、切替(更新)申請については2023年3月27日から、新規発行については2024年度から一部自治体でオンライン申請がはじまっています。
パスポートには以下のような種類があります。
普通の旅行者であれば、基本的には5年旅券か10年旅券を選ぶことになります。
○パスポートの区分
- 一般旅券:5年旅券
12歳以上に発行される一般的なパスポート。有効期間は5年
- 一般旅券:10年旅券
20歳以上に発行される一般的なパスポート。有効期間は10年
- 子供旅券
12歳未満のための一般的なパスポート。有効期間は5年
- 公用旅券
議員・公的機関職員・JICA職員等に対して発行されるパスポート
- 外交旅券
総理大臣や最高裁長官・皇族等に対して発行されるパスポート
- 緊急旅券
緊急時に発行されるパスポート
現在発行されているパスポートはICチップの入ったいわゆるIC旅券です。
パスポートの中に厚い板のようなページがあると思いますが、ここにICチップが埋め込まれています。
ICチップにはパスポート上に記載されているのと同じデータ、氏名・国籍・生年月日・旅券番号・顔写真等が記録されています。
出入国する際に、各国のイミグレーション(イミグレ。出入国管理)でパスポートを見せて入国審査を受けると、入国スタンプや出国スタンプといった証印が押されます。
これで入出国の手続きが終わります。
ただし、顔認証や指紋認証などの自動化ゲートを利用する場合は、職員がいないこともあって入出国のスタンプは省略されます。
スタンプが必要である場合はゲート通過直後にイミグレの職員に申し出ると押してもらえます。
海外旅行者が覚えておいた方がよいパスポート関係の知識を列挙しましょう。
○パスポート関連TIPS集
- 海外では外出時にパスポートかコピーをつねに持ち歩く
- パスポートの記載事項(氏名や本籍地)に変更があった場合は変更を届けるか新規発行を受ける
- 所持人記入欄以外(査証欄等)に書き込みをしてはならない
- 所持人記入欄は未記入でも使用できるが、緊急時・紛失時のために書いておく方がベター
- 所持人記入欄の修正は届け出不要で、二重線等で各自で行う
- 航空券記載の氏名とパスポート記載の氏名は一致しなければならない(スペルや旧姓等に注意)
- 海外で紛失したり盗難にあった場合はすみやかに大使館や領事館に届け出て再発行を受ける(パスポートがないと出国できない)
- 出入国スタンプやビザで査証欄がいっぱいになる前に新規発行を受けなければならない(増補=ページの追加は2023年3月27日に廃止)
- 出入国する際に顔認証ゲートや指紋認証ゲートといった自動化ゲートを使うと出入国スタンプが省略される。役所や会社等の届け出にスタンプが必要な場合は自動化ゲート通過後、飛行機搭乗前あるいは税関検査前までに審査場の職員に申し出るとスタンプを受けることができる
- 顔認証ゲートはパスポートの顔写真とゲートを通過する人物の顔をその場で照合するため事前登録が必要ない。これに対し、指紋認証ゲートは指紋を事前に登録しておく必要がある
- ビザの免除や発行の条件として、パスポートの残存有効期間を3か月以上や6か月以上等と指定している国が多い。有効期間が1年を切ったら新規発行を考えた方がよい
- 多くの国に行く人はパスポート・ナンバー(旅券番号)を記憶しておくと便利
- パスポートの新規発行・切替は海外の日本大使館や日本領事館などでも可能。海外でパスポートの切替を行った場合、旧パスポートに各国のビザや出入国記録が残ることになるので、新旧両パスポートを持ち歩く必要がある。旧パスポートに使用中のビザがある場合、パスポートの切替を行ってもビザは有効である(未使用のビザについては要確認)
なお、パスポートの取り方や申請先については下記の外務省公式サイトを参照してください。
[関連サイト]
パスポートの申請から受領まで(外務省)
○注意! パスポートの残存有効期間について
パスポートには有効期間がありますが、国によっては必要な残存有効期間を定めている国があります。
具体的には、「入国時にパスポートの有効期間が3か月以上残っていること」「(同じく)6か月以上残っていること」などと定められており、条件を満たしていなければ入国を拒否されてしまいます。
日本政府はこうした制限について、パスポートの有効期間の意味が薄れるとして反対していますが、実際に少なくない国が実施しています。
これに気づかず飛行機に乗ろうとした場合、航空会社が空港でパスポートをチェックして搭乗を拒否するという事態が起こりえます。
バス等でその国にたどり着けたとしても、イミグレで入国を拒否されてしまうでしょう。
こうした事態を防ぐためにも、各自で入国条件を調べておく必要があります。
ツアー会社などを通して航空券を取る場合、ツアー会社がチェックしてくれることが多いのですが、それでも自分で調べてみるべきだと思います。
ただ、事前にその国のビザを取っている場合は問題ありません。
各国の大使館や領事館はそれらを考慮してビザを発給しています。
ぼくも一度、このトラブルに見舞われています。
カンボジアの1年有効のビザを取ろとしたのですが、「パスポートの残存有効期間が6か月以上残っていること」という条件が付いていました。
ビザの申請時点で1年以上の有効期間が残っていたので余裕だと思ったのですが、申請したら、「取得しようとしているビザの有効期間の最終日に、パスポートの残存有効期間が6か月以上残っていること」が必要であるとして拒否されてしまいました。
つまり、1年のビザを取得するには1年6か月以上の残存有効期間が必要であるということです。
このためパスポートを切り替えるしかなかったのですが、パスポートの切替は有効期間が1年を切らないと行えません。
これを在カンボジア日本大使館に相談したところ、カンボジアではこの制度に対応して1年半前でもパスポートの切替を認めるという特別処理をしていることを知りました。
入国条件は変わることもありますし、なるべく早めに自分自身で調べておくべきだと思いました。
最新の入国条件は各国大使館の公式サイトなどでアナウンスしているので、航空券を買う前にチェックしてみてください。
各国大使館の公式サイトへのリンク集は後述します。
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■ビザ=査証とは何か?
ビザは自国民以外の人物に与える入国許可証です。
基本的に、外国に行く際にはその国のビザを取得しなければなりません。
ただし、一定の条件の下でビザが免除されたり、その国に到着したときに空港や国境でビザが取れることがあります。
日本に対する信頼は非常に厚く、日本人は190か国以上についてビザを事前に取ることなく渡航が可能だといわれています。
いずれにせよ、海外旅行の前にビザの必要の有無・種類や取り方について、最新情報をチェックするようにしましょう。
こうした情報はガイドブックなどにも書かれていますが、最新情報は各国の大使館が発信しています。
以下に各国大使館へのリンク集を貼り付けておきましょう。
[関連サイト]
駐日外国公館ホームページのリンク集(外務省)
駐日外国公館の一覧(Wikipedia)
ビザにはさまざまな種類があります。
以下で紹介していきましょう。
○渡航目的によるビザの区分
- ツーリスト・ビザ(観光ビザ)
観光のためのビザ
- トランジット・ビザ(通過ビザ)
その国を通過するためのビザで、数時間~数日と短期に限られる
- ビジネス・ビザ(商用ビザ、コマーシャル・ビザ)
仕事の視察・打合せ・会議等、利益を伴わない出張に対するビザ
- ワーキング・ビザ(就労ビザ)
当該国で働いて利益を得るためのビザ
- ステューデント・ビザ(学生ビザ、スタディ・ビザ)
留学等、比較的長期にわたる修学・研究活動のためのビザ
- その他のビザ
ワーキングホリデーやボランティア、就労者家族、メディア、永住者、移民・難民、国王や天皇、大使や領事等に対しては特別なビザが用意されていることが多い
海外旅行で取得するのは多くの場合、ツーリスト・ビザです。
もっとも一般的で安価かつ審査も簡単です。
ただし、旅行の仕方によっては留学用のステューデント・ビザや通過するためのトランジット・ビザを取得するケースもあるかもしれません。
○渡航回数によるビザの区分
- シングル・エントリー・ビザ(一次ビザ。シングル・ビザ)
一度だけ入国できるビザ
- ダブル・エントリー・ビザ(複次ビザ。ダブル・ビザ)
二度の入国に対応したビザ
- トリプル・エントリー・ビザ(三次ビザ。トリプル・ビザ)
三度の入国に対応したビザ
- マルチプル・エントリー・ビザ(数次ビザ。マルチプル・ビザ)
有効期間内であれば何度でも入国できるビザ
一般的な海外旅行ではシングル・エントリー・ビザがあれば十分です。
複数回の入国を認めるビザは、その国に戻ってくる場合に取得します。
たとえばカンボジアからラオスやベトナムに行ってまたカンボジアに戻ってくる場合、カンボジアのダブル・エントリー・ビザやマルチプル・エントリー・ビザがあればひとつのビザで事足ります。
ただ、便利なビザほど高価になっていきます。
○発給場所によるビザの区分
- 大使館ビザ
大使館や領事館で発給されるビザ
- アライバル・ビザ
空港や港・国境等、到着地のイミグレで発給されるビザ
- e-VISA(イー・ビザ)
インターネット上で発給されるビザ
どこでビザが取得できるかは国によって異なります。
たとえば先にも例を出したカンボジアの場合、上のいずれの方法でもビザの取得が可能です。
東京の大使館や大阪の領事館でも取れますし、空港や国境でも可、ネットでも取得できます。
ただし、取る場所によってビザの種類が限られたり、値段が異なることがあります。
最近ではe-VISAといって、大使館に出向く必要がない発給方法も普及してきました。
e-VISAの場合はインターネットでビザを取得してPDFをスマホに保存したり紙に印刷し、それをイミグレで見せる形が一般的です。
○形態によるビザの区分
- スタンプ・タイプ
パスポートにスタンプを押すタイプ
- シール・タイプ
パスポートにシールを貼るタイプ
- 別紙タイプ
パスポートとは別に証明書やカードを発行するタイプ
- 電子認証タイプ
パスポートとは別にオンライン上で認証・発行するタイプ
形態としてはスタンプやシールが一般的です。
パスポートの査証欄にスタンプやシールのスペースがないとビザが発給されないので、いっぱいになる前に新規発行をしておきましょう。
なお、ページを増やす増補は切替のオンライン化に伴って2023年3月27日に廃止されました。
○ビザの免除条件・発給条件の例
- 滞在目的
- 滞在期間
- パスポート残存有効期間
- 入国場所
- その他
日本人に対しては150以上の国々がビザを免除し、40以上の国がアライバル・ビザを発給しています。
これらの国については事前にビザを取る必要はない、ということになります。
ただ、ビザの免除や発給には必ず条件があって、たとえば「90日以内の観光に限る」「指定された空港や港からの入国に限る」「入国時にパスポートの有効期間が6か月以上残っていること」などと定められています。
この他に、電子渡航認証や予防接種の証明書、出国チケット、銀行預金の残高証明等を要求する国もあったりします。
国によってはビザを申請してから発行まで数週間かかることもあります。
その間パスポートを預ける必要があったりするので、特に複数国のビザを取る際は日程に注意が必要です。
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■電子渡航認証やデジタル入国カード、イエローカード、新型コロナウイルス感染症について
○電子渡航認証/デジタル入国カードとは何か?
アメリカ、カナダ、オーストラリア、マレーシア、カンボジアなどにビザなしで行く際に、渡航前に申請しておく必要があるのが「電子渡航認証」「デジタル入国カード」です。
どこの国でも出入国の際には入国カードや出国カードを書くものですが、これをwebサイトやアプリで事前に行うことを義務付けた制度です。
アメリカではESTA、カナダではeTA、オーストラリアではETAS、マレーシアではMDAC、カンボジアではCeAと呼ばれており、同様のシステムの採用国は年々増えています。
ビザを持っていても必要になることがあるので、各国の最新情報を確認しておきましょう。
面倒な方は、お金は掛かりますが代行業者を使うことも可能です。
日本についてもデジタル庁の "Visit Japan Web" 上で入国審査や税関申告といった入国手続きを簡素化することができます。
特に税関については顔認証を行う電子申告ゲートが使えて非常に便利です。
ついでにイミグレで顔認証ゲートを利用すると出入国で列に並ぶ必要がほとんどなくなります。
[関連サイト]
- Visit Japan Web(日本国デジタル庁ウェブサービス)
- Official ESTA Application Website(アメリカESTA申込サイト。日本語あり)
- Electronic Travel Authorization(カナダeTAの解説サイト。英語。日本語解説頁あり)
- Electronic Travel Authority(オーストラリアETAS申込サイト。リンクされていない場合はアプリ「AustralianETA」を使用。英語)
- Malaysia Digital Arrival Card(マレーシアのMDAC登録サイト。英語)
- Cambodia e-Arrival(カンボジアのCeAの登録サイト。日本語あり)
○イエローカードとは何か?
アフリカや南アメリカでは、入国の際に黄熱ワクチンの予防接種を受けたことを証明するイエローカード(国際黄熱予防接種証明書)の提示を義務付けている国があります。
黄熱の拡散を防ぐための予防策なので、アフリカや南アメリカに行く予定のある人は必要国か否かを調べて、必要に応じて予防接種を受けておきましょう。
陸路で移動する場合、必要国の周辺国でもイエローカードが取れることが多いです。
なお、予防接種が受けられる国内の検疫所や、イエローカードが必要な国は下記サイトに掲載されています。
[関連サイト]
- 黄熱について(FORTH=厚生労働省検疫所)
○新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症の流行によって海外旅行は大幅に制限を受けるようになりましたが、ほとんどの国で規制は撤廃されています。
いまだに規制を続けているわずかな国については、外務省のサイトで状況をまとめています。
[関連サイト]
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■特殊な入国事情のある国々の例
参考までに、少々特殊な入国事情のある国々の例を紹介しましょう。
- シェンゲン協定加盟国
EUのシェンゲン協定加盟国では領域(シェンゲン領域)内についてビザを免除し、入国・出国審査を廃止しています。つまり、領域内では他国に行ってもイミグレを通らないし、スタンプが押されることもありません。このため領域に入る国と出る国の空港や国境等で出入国の手続きを行います。たとえばドイツに入って陸路でルクセンブルク、ベルギーを経てフランスに行くような場合、入国したドイツと出国するフランス以外では出入国の審査を受ける必要がありません
- 敵対国
敵対している国々の間では、相手国の訪問履歴(ビザやスタンプ)があるとビザを発給しなかったり入国を拒否することがあります。一例がイスラエルに対するいくつかのイスラム国家、ナゴルノ・カラバフに対するアゼルバイジャンです
- 観光を認めていない国
北朝鮮やトルクメニスタンのように、個人の自由旅行を認めておらず、観光をツアーに限ったり、招待者を必要とするなど著しく制限している国もあります。また、国交がなかったり戦争中であるため入国が難しい国も存在します
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■オーバーステイとビザラン
ビザが免除される期間やビザで認められた期間を超えて滞在することを「オーバーステイ」といいます。
オーバーステイになると1日あたりで定められた罰金を科せられたり、悪質である場合は身柄拘束されることもあるので注意が必要です。
ビザ免除国やアライバル・ビザが取得できる国で、隣国との出入国を繰り返して長期滞在する外国人がいます。
たとえばタイでは30日、ラオスでは15日、マレーシアでは90日以内の観光に対してビザが免除されています。
このためタイ-ラオス間、タイ-マレーシア間を往復することでビザなしの長期滞在が可能になります。
これを「ビザラン」というのですが、長期になると観光目的であるかどうか怪しく、合法とはいえなくなってきます。
世界的に、ビザランに対する取り締まりは厳しくなる傾向にあり、たとえばタイでは2017年からビザなしの陸路入国について1年間に2回までという制限を設けています。
こうした国境事情は変わりやすいので、陸路で国境を往復する人は最新の情報を入手しておく必要があります(たとえばタイは期限付きでビザなしの陸路入国制限を緩和したりしています)。
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■入国・出国の方法
簡単に出入国の方法を記しておきましょう。
この流れを知っているだけで海外旅行のイメージがつかめるようになると思います。
おおよそ以下の順番で検査や審査が行われます。
1.搭乗手続き/チェックイン(飛行機で出国時)
持っている航空券の航空会社のカウンターでチェックインを行い、預入手荷物(受託手荷物。航空会社に預ける荷物)を預けます。
チェックインして荷物を預け、「搭乗券(ボーディング・パス)」をもらって保安検査場に進みます。
搭乗券は飛行機の搭乗口や、場合によっては保安検査場やイミグレなどでも必要になるので、パスポートと一緒にすぐに取り出せるようにしておきましょう。
航空会社によりますが、一般的にチェックインは出発時間の3~1時間前の間に行われます。
渋滞等の可能性も考えて余裕を持って訪ねましょう。
チェックインは多くの場合、パスポートだけで大丈夫ですが、一応eチケットを印刷したりPDFでスマホなどに保存しておくと安心です。
機内持込手荷物や預入手荷物は個数や大きさ・重さが定められているので注意が必要です。
最近は数日前から航空会社の公式サイトやアプリでオンライン・チェックイン(webチェックイン)を行うことができます。
これをすることでカウンターの列に並ばずにすんだり、フライト情報などが送られてきたり、ダブル・ブッキングの際に有利になったりするので、ぜひしておきたいところです。
オンライン・チェックイン後に「モバイル搭乗券(eボーディング・パス)」のデータが発行されるので、データをスマホなどに保存したり、印刷するなどして、すぐに提示できるようにしておきましょう。
また、当日にカウンター近くに設置されているセルフ・チェックイン・キオスクと呼ばれる機器で自分でチェックイン(セルフ・チェックイン)をすることもできます(キオスク・チェックイン)。
搭乗券が印刷され、航空会社によっては預入手荷物の荷物タグが印刷されることもあります。
オンライン・チェックインやキオスク・チェックインをして、かつ預入手荷物がない場合、カウンターに立ち寄る必要はありません(一部の国へ行く場合は出国チケットをチェックするなどの理由から必要になる場合があり、その旨が記載されています)。
その場合は搭乗券やモバイル搭乗券を見せられるようにして保安検査場へ進みます。
航空会社によっては預入手荷物がある場合でも、オンライン・チェックインやキオスク・チェックインの後で、自動手荷物預機やセルフ・バゲッジ・ドロップなどと呼ばれる自動手荷物預かり場で預入手荷物を預けることができます。
モバイル搭乗券などのデータを読み込ませることで荷物タグが印刷されるので、それを自分で荷物に付けて、預け入れます。
つまり、「オンライン・チェックイン(あるいはキオスク・チェックイン)→セルフ・バゲッジ・ドロップ」の流れで、カウンターの長い列にほとんど並ぶ必要がなくなります。
非常に便利ですのでオススメします。
ただし、カウンターに並ぶ並ばないに関わらず、この後で荷物チェックが入り、呼び出しを受けることがあります。
荷物を預け終わっても、アナウンスには十分注意するようにしましょう。
2.保安検査(出国時)
一般的に、空港なら空港の入口と出国審査場前の2か所、陸路の場合はイミグレ(後述)の建物の入口や税関で手荷物検査とボディチェックが行われます(陸路の場合、検査がないこともあります)。
手荷物や金属製の持ち物はトレーに入れてベルトコンベアー上に載せます。
しばしばPCやバッテリー類は手荷物から出してトレーに入れることを要求されます。
飛行機の場合、出国審査場より先には100ml以上の液体・ジェルやライター類、スプレー類、ナイフ・ハサミ類の持ち込みが禁止されています。
化粧品や歯磨き粉・ヘアジェル等は預入手荷物に入れるか、総量1L以内の液体類を100ml以下に小分けして縦横合計40cm以内のジッパー・ファスナー付の袋に入れて機内に持ち込みます(専用の袋が空港のショップに売られています)。
アーミーナイフ(万能ナイフ)やハサミ類も預入手荷物に入れましょう。
逆に、モバイル・バッテリーやPCなどのバッテリー類は預入手荷物に入れることが禁じられていることが多いので、機内に持ち込みましょう。
3.検疫(Quarantine)
検疫とは、入国者や持ち込まれる動植物・食品が病原体や毒物に汚染されていないか検査することを示します。
多くの場合、一般的な旅行者は検疫所を通過することができます。
ただ、熱がある場合、病気にかかっている場合、ペットなどを持ち込む場合、伝染病汚染地域を訪ねた場合などは検疫所を訪ねる必要が出てきます。
4.イミグレーション(lmmigration)
イミグレーション=イミグレで入国審査や出国審査を受けます。
パスポートのチェックを受け、場合によっては写真撮影や指紋採取等が行われます。
一般的に、入国するときは入国カード、出国するときは出国カードを提出し、ビザを持っていない場合にはアライバル・ビザの取得などを行います。
カードや書類は飛行機や電車・バスで配られるかイミグレに置かれているので、記入してから審査を受けましょう。
webサイトやアプリで手続きができる電子入国カードや電子出国カードを採用している国もあるので、その際は事前にスマホやPCで処理しておくことも可能です。
日本でも帰国を含む入国の際にデジタル庁のwebサイトやアプリ "Visit Japan Web" で電子入国カードの手続きが行えます。
入国する場合、英語で訪問目的や滞在期間・滞在先を聞かれたりします。
ホテル名と住所はすぐに示せるようにしておくとよいでしょう。
審査後、入国する場合は入国スタンプが押され、入国日と滞在可能期間が示されます。
出国する場合は出国スタンプが押され、出国日が記録されます。
ただし、自動化ゲートを利用するとスタンプが省略されるのは先述の通りです。
[関連サイト]
- Visit Japan Web(日本国デジタル庁ウェブサービス)
5.税関(Customs)
税関は輸出入品を管理したり関税を課したりする場所です。
どの国でも持ち込める外貨や荷物の種類・量は制限されているので、申告書を書いて申告し、検査を受けます。
一般的な旅行者の場合、出国時に検査を受けることはあまりなく、入国時に限られます。
飛行機の場合、航空会社に預けた預入手荷物を受け取って荷物がそろってから税関へ向かいます。
陸路の場合も、バスや電車から荷物をすべて下ろして検査を受けることが多いです。
申告すべき物がない場合、簡単な税関申告書を提出して終了します。
ただ、国あるいは人によっては荷物を開けて入念にチェックを行う場合もあったりします。
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次回は航空会社と航空便の種類について解説します。