私的旅行術 準備編13:旅行用バッグやケースの選び方
海外旅行では自分の荷物をバックパックやキャリーケースに入れて移動することになります。
今回はこうしたバッグやケースの選び方を解説しましょう。
ここでは特に中長期で移動が多い旅行者を想定しています。
○本記事の章立て
- メインバッグの選び方
- メインバッグのサイズ・容量について
- サブバッグの選び方
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■メインバッグの選び方
衣服や日用品・消耗品・移動中に不要なものなど、貴重品以外のものを運ぶのがメインバッグです。
飛行機に乗るときは預入手荷物(受託手荷物)となり、ホテル滞在中はホテルに置きっ放しになることが多いバッグです。
メインバッグになりうるものには以下のような例があります。
○メインバッグの例
- スーツケース
主に衣服(スーツ等)を運ぶために考案された長方形の旅行カバン。伸縮するキャリーバー(取っ手)やキャスター(車輪)が付いておらず、持ち上げて運ぶものが多い
- キャリーケース、キャリーバッグ
キャリーバーが付いたスーツケース。トローリーケースとほぼ同義で、スーツケースとも厳密に区別されているわけではない
- トローリーケース、トローリーバッグ
キャスターが付いたケースやバッグのこと。こちらもスーツケースやキャリーケースと厳密な区別があるわけではない。ホイールバッグ、ホイールケースとも
- バックパック
背負うタイプの大型旅行バッグ。歩きやすさを重視して、縦長で少し湾曲したものが多い。このタイプのバッグを背負った長期旅行者をバックパッカーという
- 3wayキャリーケース、3wayキャリーバッグ
キャリーケースにバックパックのように背負える機能を付けたもので、「手で持ち上げる」「キャリーバーやキャスターで転がす」「背負う」という三つの方法で運搬できるケースやバッグ
- ボストンバッグ
布や皮等でできた手に持って運ぶタイプの旅行カバン。転がすことも背負うこともできないため、荷物が多い人や中長期用には向かない
本サイトではキャリーバーやキャスターが付いた一般的なスーツケースをキャリーケースと呼びたいと思います。
2~3日の短期旅行であればどのようなバッグでもそれほど問題はありませんが、荷物が多い方や中長期の旅行になるとキャリーケースかバッグパックを選ぶことが多くなります。
以下では3wayキャリーケースを加えてそれぞれのメリットとデメリットを記してみましょう。
○キャリーケースのメリット
- 丈夫で中身が保護できる
- 雨にも強い
- カギが比較的しっかりしている
- 四角形で荷物の収納効率が高い
- キャスターのおかげで転がしたり引っ張って移動できる
○キャリーケースのデメリット
- 一般的に重い
- 新素材の樹脂は軽いが高い
- 非舗装路や石畳では移動が困難
- キャスターが壊れると移動が困難
- 舗装路であっても長時間の徒歩移動には適さない
- 高級品に見られがちで盗難のリスクが増す
○バックパックのメリット
- 背負って徒歩での移動が非常に楽
- 歩けさえすればどのような道であろうと移動ができる
- ポケットが多くて使いやすい
○バックパックのデメリット
- 短距離の移動でも背負わなければならない
- 上から荷物を詰めるので下のものが取り出しにくい
- カギがかからないものがある
- 湾曲していたりするため見た目より容量が少ない
- 先進国やオシャレな場所では貧乏くさく見えることがある
○3wayキャリーケースのメリット
- 状況に応じて背負うことも引っ張ることもできる
- スーツケースのように大きく開いて収納できる
- キャスターが壊れても背負うことができる
○3wayキャリーケースのデメリット
- 長時間、背負って歩く移動には向いていない
- スーツケースやバックパックより貧弱で壊れやすい
ぼく自身は現在、以下をメインバッグとして所有しています。
- 大型キャリーケース(ハード、90L、4輪)
- 小型キャリーケース(ハード、35L、2輪)
- 3wayキャリーケース(ソフト、57L、2輪)
- 中型バックパック(40L)
といっても、いまでは2~3日の短期旅行は小型キャリーケース、海外旅行はほとんど3wayキャリーケースを使っています。
大型キャリーケースとバックパックはほとんど使用していません。
ぼくがオススメするのもやはり3wayキャリーケースです。
移動を繰り返す中長期旅行者の場合、大型キャリーケースは非常に不便です。
非舗装路や石畳が多い地方ならなおさらです。
ただ、移動が多いといっても実際に長時間歩くということはほとんどありません。
歩くのは交通機関を乗り換えるときくらいのものでしょう。
ですから秘境に行ったり登山をしたりするのでなければバックパックである必要もありません。
だから3wayキャリーケースなのです。
普段は引きずって歩けるうえに、非舗装路では背負うことも可能。
バックパックのように下の荷物が取り出しにくいなんてこともないし、形が四角いので大きさの割に容量も豊富です。
非常に使い勝手がよいですね。
もっとも、3wayキャリーケースでも背負うことは非常にまれです。
ぼくは東南アジアを回っているときもほとんど引っ張っていました。
ですから途上国であっても小型キャリーケースで旅してもさほど問題はありませんし、最近はそんな旅行者をよく見掛けるようになりました。
好み次第、ということになりそうですね。
キャリーケースの場合、以下のような機能・部品に注目して選ぶとよいでしょう。
○キャリーケースの注目ポイント
- キャリーバー
キャリーバーの有無でスーツケースとキャリーケースを分けることがある。キャリーバーは引くときに便利だが、その分、容量が削られ重量が増す
- ソフトタイプ、ハードタイプ
ソフトタイプは布や皮など柔らかい素材を使ったもの。非常に軽く、中身が少なければその分コンパクトに持ち運べる。ハードタイプはジュラルミンや樹脂など固い素材を使ったもので、衝撃や雨から内部を保護できる代わりに、一般的に重く、大きさを変えることができない
- 2輪タイプ、4輪タイプ
キャスターの数で4輪と2輪の区別がある。2輪は引いて運ぶしかないが、非常に引きやすく、多少の段差も引っ張り上げられるし、軽くて故障もしにくい。4輪は立てたまま転がしたり引いたりできるが、段差に弱く、長時間の徒歩移動には適さない。また、4輪は出っ張っていて構造が複雑であるため壊れやすい。タイヤには軟質樹脂・硬質樹脂、シングル・ダブルの違いもある
- ファスナータイプ、フレームタイプ
ファスナーでケースを閉めるタイプと、ファスナーのないタイプ。ファスナータイプは少し開けて荷物を入れたり、立てたまま開閉できる柔軟性がある。ただ、ファスナーは布で取りつけられているため、その脇をナイフで切られたり、水が浸透したりすることがある。堅牢性・密封性・安全性ではフレームタイプが上だが、柔軟性・軽量性ではファスナータイプがすぐれる
- シリンダーロック、カードロック、ダイヤル式ロック、TSAロック
先の三つはそれぞれキー(カギ)、カード、ダイヤルを用いて解錠するもの。TSA(アメリカ運輸保安庁)ロックはアメリカが採用している方式で、同庁の職員が対応した道具でロックを解除して中身をチェックする
キャリーケースの最重要ポイントはキャスターです。
転がしたり引っ張ったりして運ぶわけですが、キャスターが壊れると転がすことも引っ張ることもできなくなってしまいます。
ですからキャスターがしっかりしていて、修理に迅速に対応し、補償が利くメーカーがベターでしょう。
一流&有名メーカーなら安心です。
ロックに関しては、いずれにしても気休め程度のものにすぎません。
フレームタイプでシリンダーロックなら比較的丈夫ですが、プロの手にかかれば容易に開いてしまいます。
ダイヤルロックの場合、000~999まで1,000通りしかないので、素人でも十数分もあれば全通り合わせることが可能です。
ただ、カギがかかっているだけで抑止力にはなるので、やはり必須ではあります。
TSAロックに関しては、アメリカに行ったり経由しなければほぼ関係ありません。
TSAロックの構造はすでに知られているので、安全性が高いわけでもありません。
アメリカに行くor経由するのにTSAロックがない場合、壊されないためにロックを解除して預けることになります。
スーツケースや旅行用品の専門店トコーnaviと、レンタルスーツケース店のバナーも貼り付けておきます。
トコーは品揃えもよいので相談してみてください。
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■メインバッグのサイズ・容量について
サイズについてよく「×日旅行用」などと書かれていることがありますが、容量は旅行期間よりも季節や旅行スタイルによって大きく変化します。
たとえば短期旅行であっても、冬、先進国に旅に出て、高級レストランやクラブに繰り出し、あちらこちらで買い物をするというのであれば、種々の衣服や靴・お土産を入れるために大型のキャリーケースが必要になるでしょう。
一方、バックパッカーの場合は何か月・何年の旅であろうと大きさは変わりませんが、PCや一眼レフカメラ・楽器・ダイビング機材やサーフボード等といった趣味の物を持っていく人はその分だけ荷物が増えることになります。
最終的に、荷物はバッグの大きさに合わせるもの。
大きめのバッグを選んでも結局いっぱいになってしまいます。
ですからまず「絶対に持っていく」という荷物を確定してからバッグの大きさを決めるべきでしょう。
多少容量が足りなくなっても、サブバッグの容量を増やすことで調整は可能です。
航空機の預入手荷物について、数や大きさ・重さは事前に決められているのでそれ以内に収まるように心掛けましょう。
超過した場合は割高な追加料金を請求されることになります。
特にLCCは厳しいので注意してください。
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■サブバッグの選び方
サブバッグはメインバッグを預けたり置いたあとで身に付けるもの。
ホテルにメインバッグを置いて町歩きに出掛けたり、メインバッグを航空会社やバス会社に預けたあとで座席に持ち込んだりするためのバッグです。
機内に持ち込むわけですから、大きさは制限以下でなくてはなりません。
ANAとJALの場合、国際線の持込手荷物は以下のように規定されています。
LCCの例もあわせて紹介しましょう。
○ANA国際線 持込手荷物のルール
- 身の回り品(ハンドバッグ、ノート型パソコン、カメラ、傘等)のほか1個まで
- 総重量10kg以内
- 3辺の和が115cm以内かつ、3辺それぞれの長さは55×40×25cm以内(キャスター、キャリーバーを含む)
○JAL国際線 持込手荷物のルール
- 身の回りの品(ショッピングバッグ、ハンドバッグ等)1個のほか、下記の条件の手荷物1個
- 両者の合計重量が10kgを超えないもの
- 3辺の和は115cm以内、各辺は55×40×25cm以内、10kg以内
○LCC 持込手荷物のよくあるルールの例(ベトジェット、エアアジア、ジェットスター等)
- 身の回り品+手荷物の計2個まで、総重量7kg以内
- 3辺はそれぞれ56×36×23cm以内
ここでいう「身の回り品 "personal items"」とは、カメラ・PC・スマホ・傘・ハンドバッグといったもので、FSCでは持込手荷物の重量に含める必要がありません。
というか、FSCではそもそも持込手荷物の重さを量らない会社がほとんどです。
LCCの場合、特に重さについてはカウンターや搭乗口など複数個所で量るケースもあり、大きさについても金属製の枠に入るかチェックさせられることもあったりします。
身に付けている服の重さは免除されるため、着込んだりポケットにいろいろ詰め込む人もいたりして。
ぼくの場合、PCや一眼レフカメラを持っていくのでこのサブバッグに入れることになります。
そのためクッション性を重視してカメラバッグを持ち歩いています。
カメラバッグは大きさの割に容量が少ないのが難点ですが、生地が厚いのでナイフ等で切られても盗みにくいのが利点です。
サブバッグについて、海外に持っていく場合、ワンタッチで着脱できるものは避けた方がベターです。
プロの引ったくりはこの辺りを熟知しているので、簡単に盗まれてしまいます。
また、カギがかかるものでなければなりません。
専用のロックがない場合はファスナーにスライダーがふたつ付いていて、カギをかけられるようなタイプを選びましょう。
先述したようにプロにかかればすぐに開いてしまいますし、丸ごと盗まれてしまったらおしまいですが、それでもカギが付いているだけで多くの人は盗むのをあきらめるものですから。
ダブルスライダー・タイプのファスナー(ジッパー)のバッグやケースにカギをかける際は、スライダーの上部ではなく、根元でロックするようにしましょう。
↓の動画のように上部にかけてもほとんど意味がありません。