私的旅行術 準備編3:航空券の種類と内容
飛行機で海外に行く場合、必ず航空券を買わなければなりません。
でも、同じ路線でもさまざまな航空会社があり、同じ航空会社でも航空券に種類があったりします。
いったいどの航空券を買ったらよいのでしょう?
今回は航空券の種類と注意点を紹介します。
航空会社と航空便の種類については前回、航空券の具体的な買い方については次回を参照ください。
○本記事の章立て
- 航空券=エアチケットの種類
- 航空券料金の内容
- 航空券を購入する際に覚えておきたい知識
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■航空券=エアチケットの種類
航空券にはさまざまな種類があります。
以下に種類を列挙していきましょう。
○フライト回数から見た区分
- 片道
往路のみのフライト
ex. 東京→ハノイ
- 往復
往路・復路を合わせたフライト
ex. 東京→ハノイ、ハノイ→東京
- オープンジョー
往路と復路の発着地が異なるフライト
ex. 東京→ハノイ、ダナン→東京(ハノイ-ダナン間は他の手段で移動)
- 周遊
複数都市を訪れるフライト
ex. 東京→ハノイ→バンコク→東京
○座席から見た区分
- エコノミー・クラス
一般的な座席クラス
- ビジネス・クラス
エコノミーとファーストの中間的な座席クラス
- ファースト・クラス
最高級の座席クラス
○変更の可不可から見た区分
- フィックス
便の変更ができない航空券。フライトの日時が決まっているので予定の変更ができない
- オープン
便が変更できる航空券。期間内に帰国便の変更ができるものが多い。たとえば「1か月オープン」といった場合、復路は往路便の出発日から1か月以内であれば自由に指定できる。ただし、変更回数が決められていたり、手数料がかかることもある
- フィックス・オープン
オープンの一種で、復路1度だけ変更が利く航空券をこのように呼ぶことがある
○発行会社から見た区分
- 正規航空券(ノーマル航空券)
航空会社が定めた正規の運賃で発券された航空券。有効期間内でいつでも使えて予約の変更や払い戻しが自由、マイレージも100%貯まるなど、汎用性がきわめて高い
- PEX航空券(ペックス航空券、正規割引航空券)
航空会社が独自に割引を行うPEX運賃(正規割引運賃)で発券された航空券。予約の変更や払い戻しも可能で、マイレージの積算率も悪くないが、有効期間が短かったり手数料が必要だったりすることもある。早期の予約・購入で割引率が上がる早割などの割引制度を設ける航空会社もある
- 格安航空券(ディスカウント・チケット)
団体用など安価に設定された旅行代理店向けの航空券がバラ売りされたもの。値段は安いが、便が決まっていたり、予約の変更や払い戻しができなかったり、座席が指定できない、マイレージの積算率が50%以下等々、さまざまな制約がある
- LCC航空券
LCCが発券する航空券。安価である一方、預入&持込手荷物・座席指定・機内食・毛布等の各種サービスが有料だったり、予約の変更・払い戻しができなかったり割高であることが多い
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■航空券料金の内容
航空券には航空運賃の他にもさまざまな料金が加算されることがあります。
購入する際はこうした料金が含まれているのか否かチェックする必要があります。
○航空券に関係する各種料金例
- 航空運賃
- 手荷物(預入手荷物・持込手荷物)
- 機内食
- 機内サービス
- 空港使用料等の施設使用・サービス料
- 燃油サーチャージ(燃料特別付加運賃)
- 税金(消費税や出入国税等)
手荷物について、航空会社では預入手荷物(受託手荷物。チェックイン・カウンターで航空会社に預ける荷物)・持込手荷物(機内に持ち込む手荷物)とも個数やサイズ・重量を制限しています。
FSCでは持込手荷物と20kg程度の預入手荷物×2個を無料としている場合が多いです。
これに対してLCCでは完全に別料金だったり、持込手荷物7kg以下まで無料などと、厳しい制約を設けているのが一般的です。
特に空港で追加料金を支払う場合、かなり割高になるので注意が必要です。
機内食や機内サービスについてもFSCでは通常無料で提供されますが、LCCでは基本的に有料です。
空港使用料は空港が加算する料金です。
燃料サーチャージは航空機の燃料代で、原油価格を反映して一定期間ごとに料金が改定されています。
航空会社によっては燃料サーチャージを航空運賃に含めていたりもします。
出入国税は航空券に含まれていることもありますが、現地で自分で支払う国もあったりします。
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■航空券を購入する際に覚えておきたい知識
○航空券とeチケット、チェックイン、搭乗券
空港に着いたらフライト・インフォメーション・ボードを見て、自分の便の状況を確認します。
自分の便に「Check-in=搭乗手続き可」のマークが出たら各航空会社のチェックイン・カウンターでチェックイン(搭乗手続き)を行ったり、預入手荷物を預けることができます。
空港の公式サイトでフライト・インフォメーション・ボードの情報を配信しているので、スマホなどでチェックしてもよいでしょう。
以前は所定の形式の航空券というものがあって、この航空券の原本をその航空会社のチェックイン・カウンターに提出しなければなりませんでした。
しかし、いまではeチケット(電子航空券)が取って代わり、紙の航空券はほぼなくなりました。
航空券を買うと予約番号やeチケット番号、旅程等が記された用紙やPDFデータが送られてきます。
これらは単なる旅程表(eチケット控え)で、eチケットそのものではありません。
正式なeチケットはデータとして残されていますから、こうした用紙やデータをなくしても再発行が可能です。
物理的に「航空券を紛失する」「航空券を家に忘れる」という事態はなくなったわけです。
空港では印刷した、あるいはスマホに表示されたeチケット控え(バーコードやeチケット番号)やパスポート、航空会社や航空アライアンスのカード、購入時のクレジットカード等のうち、いずれかがあればチェックインが可能です。
ぼくはチェックイン・カウンターでパスポートを見せるだけで、もうeチケットを印刷することもなくなりました。
そしてチェックインしたら搭乗券(ボーディング・パス)を受け取って搭乗口に向かいます。
ちなみに、以前は出発の数日前に航空会社に連絡をして搭乗の意思を示すリコンファーム(予約再確認)が必要でしたが、ほとんどの航空会社で廃止されています。
ごくまれに必要となる航空会社がありますが、オンライン・チェックインが代わりとなることが多いのでしておくとよいでしょう。
○オンライン・チェックイン/キオスク・チェックイン、自動手荷物預/セルフ・バゲッジ・ドロップ
多くの航空会社の公式サイトやアプリでは事前にオンライン・チェックイン(webチェックイン)を行うことができます。
オンライン・チェックインは搭乗手続きをwebサイトやアプリですませるもので、出発の数日前や24時間前から1時間前までなどと定められた期間にPCやスマホで処理することができます。
これをするとモバイル搭乗券(eボーディング・パス)が表示されたりデータで送られてきますが、これが搭乗券となります。
義務ではありませんが、チェックイン・カウンターの列に並ばずにすんだり、フライト情報や緊急情報などが送られてきたり、搭乗の意志を早期に示すことでオーバーブッキング(後述)や遅刻した際に有利に働くことがあるので、しておくことを強くオススメします。
また、座席指定をせずに航空券を買っている場合、航空会社によっては座席指定ができることもあります。
当日にチェックイン・カウンター周辺に設置されているセルフ・チェックイン・キオスクと呼ばれる機器で自分でチェックイン(セルフ・チェックイン)することも可能です(キオスク・チェックイン)。
これを行うとその場で搭乗券が印刷され、航空会社によっては預入手荷物の荷物タグが印刷されることもあります。
オンライン・チェックインやキオスク・チェックインをして搭乗券やモバイル搭乗券を持っており、かつ預入手荷物がない場合、チェックイン・カウンターに立ち寄る必要はありません。
ただし、ベトナムやフィリピンなど一部の国では出国チケットをチェックする必要などからその限りではないので、一応最新の情報を調べておく必要があります。
その場合はその旨がeチケットなどに書かれています。
最近では預入手荷物がある場合でも、オンライン・チェックインやキオスク・チェックインの後で、自動手荷物預機やセルフ・バゲッジ・ドロップなどと呼ばれる自動手荷物預かり場を利用して、自分自身で預入手荷物を預けることができたりします。
この場合、モバイル搭乗券などのデータを読み込ませることで荷物タグが印刷されるので、それを自分で荷物に付けて、預け入れます。
つまり、オンライン・チェックイン(あるいはキオスク・チェックイン)→セルフ・バゲッジ・ドロップという流れを利用すれば、チェックイン・カウンターのあの長い列を回避することができるわけです。
ただし、預けた後で預入手荷物をチェックするために呼び出しを受けることがあります。
このため空港のアナウンスには十分注意しておく必要があります。
これは一般のチェックインでも同様です。
○要確認! eチケット上の名前=パスポートの名前!!
航空券は記名式で発券されています。
航空券に記された搭乗者の氏名とパスポート上の氏名は、ローマ字のスペルも含めて完全に一致していなければなりません。
さもなければ搭乗できない可能性もあるので、この点は発券前に何度もチェックしておきましょう。
特に結婚等で姓が変わった人、変わる人は要注意です。
新しい姓でも古い姓でも構いませんが、出国するときにeチケットとパスポートの姓が一致するよう調整してください。
市役所で籍を入れてそのままハネムーンに出発するなんていうときは、旧姓で統一すべきでしょう(パスポートの変更が間に合わないため)。
○注意! 出国チケットがないと入国できない国
LCCの登場で片道航空券も手軽に手に入るようになりました。
しかし、なかには片道航空券だけでは入国できない国があるので、その点は必ずチェックしておく必要があります。
というより、特にビザなしの場合、基本的に「片道航空券だけでは入国できない」と考えておいた方がよいでしょう。
そのうえで実情を調べてみるべきです。
航空会社に問い合わせるだけでなく、旅行者の実体験等もネットで検索して読んでおくとよいと思います。
たとえばタイやベトナム、インドネシア、ラオス、フィリピン、マレーシア、香港をはじめ、アジアではビザなしで入国する旅行者に対し、出国するときの交通機関のチケットを要求する国が多々あります。
しかし、イミグレーション(イミグレ。出入国管理)で出国チケットをチェックされることは少なく、実際には片道航空券で多くの観光客が入国しています。
このように、本当に入国が可能か否か、最新の情報を集める必要があるでしょう。
心しておきたいのは航空会社の質問・搭乗拒否の可能性です。
片道航空券の場合、空港でチェックインする際に出国チケットの提示を求められることがあります。
これは入国拒否された場合に航空会社が責任もって帰国させる必要があるためで、場合によっては搭乗拒否されることもあります。
ぼくもラオスやカンボジア、中国、香港などに片道航空券で入国したことがありますが、いずれもチェックインの際にいくつかの質問を受け、何度か誓約書を書いています。
「海外に出てからタイ行きの片道航空券を買ったけれど、空港で搭乗拒否された」なんて話は結構聞きます。
チェックイン・カウンターに立ち寄る必要がない場合(オンライン・チェックインやキオスク・チェックインして預入手荷物がない場合、あるいはセルフ・バゲッジ・ドロップで預入手荷物を預けた場合など)はこうしたチェックを受けることがありません。
それでもベトナムやフィリピンなどに飛ぶ際はチェックイン・カウンターへの立ち寄りを義務付けている航空会社もあったりするので、やはり確認が不可欠です。
片道航空券で入りたいけれど心配だ……
そんな人は事前にビザを取ることをオススメします。
あるいは、その国から出国するもっとも安い航空券や国際バスのチケットを買って捨ててしまったり、無料払い戻しができる正規航空券を買って入国して後日キャンセルするという方法もあります。
ただ、ビザがあれば片道航空券で入国できるか否か、国際バスのチケットでよいか否かは調べておく必要があります。
最近では1~2日間のみ有効な航空券を10$や20$といった安価で発券するオンワード・チケット "Onward Ticket" 関連のサイトも増えてきました。
気になる方は調べてみてください。
[関連サイト]
○オーバーブッキングについて
航空会社は定員割れを防ぐために座席数より多くのチケットを発行することがあって、チェックインの段階、あるいは搭乗手続きを済ませたあとでもまれにこの過剰予約=オーバーブッキングによって飛行機に乗れなくなることがあります。
オーバーブッキングは法的に認められるので、怒鳴ったり怒ったりしても無駄です。
冷静に対処しましょう。
オーバーブッキングされると座席を別のグレードに移されたり、別の便が用意されることになります。
便によっては日程がずれることになるわけですが、宿泊費のほか迷惑料等が補償されます。
オーバーブッキングを避けるためには、グレードの高い座席や正規航空券などのグレードの高いチケットを選ぶこと、毎回同じ航空会社の便に乗ること(フリークエント・フライヤーになること)、オンライン・チェックインで座席を指定すること、なるべく早めにチェックインすることなどが有効だと言われています。
■ラウンジについて
空港にはフライトの2~3時間前には到着しているのが普通だし、航空会社に荷物を預けた後も飛行機に乗るまでずいぶん時間が余ります。
最近ではすでに紹介したオンライン・チェックインやセルフ・バゲッジ・ドロップによって列に並ぶ必要は少なくなりましたが、それでも何かと時間を持て余すものです。
そんなときに使いたいのがラウンジです。
多くのラウンジでは軽食やアルコールを含む飲料を提供しており、フリーWi-Fiや電源、シャワー、マッサージ器、新聞・雑誌などのサービスを行っています。
中にはビュッフェ・スタイルの豪華な食事を提供したり、さまざまなアルコールを用意しているバーのようなラウンジもあったりします。
ラウンジには以下の種類があります。
- 航空会社ラウンジ:航空会社が運営するラウンジで、上級会員のみが利用可能
- カード・ラウンジ:複数のクレジットカード会社がラウンジ運営会社と共同で運営しているラウンジで、クレジットカードの上級会員は無料、一般会員や非会員でも有料で利用できることがある
- その他のラウンジ
また、ラウンジは空港の位置によって以下の2エリアに区分されます。
- ランドサイド:飛行機に搭乗しない人でも入ることのできる一般エリア
- エアサイド:チェックイン後、イミグレや税関などを通過し、搭乗を待つ人のための制限エリア
こうしたラウンジは会員証やクレジットカードと、航空券あるいは搭乗券(モバイル搭乗券)を見せて利用するのが一般的です。
無料で使える場合でも適用されるのは本人のみで、同伴者は追加料金が必要になることがほとんどです。
利用は通常2~3時間などと上限が定められていますが、複数のラウンジをハシゴできることも少なくありません。
ですからチェックイン前にランドサイドのラウンジで休み、チェックイン後にエアサイドのラウンジで搭乗を待つなんてこともできたりします。
また、ラウンジによっては出発地だけでなく、経由地や到着地で利用できることもあります。
経由地の待ち時間をラウンジで過ごせたらとても快適です。
ただし、ラウンジは24時間営業とは限らず、自分がいるターミナルにラウンジがないこともあったりします。
自分のカードでどのラウンジが利用できるかは、所有しているカード会社の公式サイトなどで確認してください。
世界中の多くのラウンジが無料で使えるプライオリティ・パスについては「私的旅行術 準備編7:お金とカード <中編> クレジットカード」で言及しています。