グルメ11:カクテルの真実2 at Bar FOUR SEASONS
寿司屋に行くとネタに精通していない自分は「白身は何がありますか?」。
バーに行くとフルーツに精通していない自分は「果物は何がありますか?」。
これが楽しくって仕方なくて、最近バー巡りにはまっている。
記事「グルメ1:カクテルの真実 at bar *****」のバーを知って以来、バーの選び方が180%転回してしまった。
以前は空気観。
まずは置いてある家具や照明、バーテンダーや客が醸し出す雰囲気。
それから「こんな感じ」とシングル・モルトを注文したときに、自分をどう捉え、どう考えて、どのような1杯を導いてくるのかというロジック。
2つからなる全体の空気観を重視した。
モルト・バーが多かったから、シングル・モルトがそろっているのは当たり前。
あまりにレアで高価な瓶はそうそう飲めないから、そこそこのものになる。
そこそこのモルトの場合、まったく同じ瓶であれば、どの店で飲んでもほとんど味は変わらないはず。
でも、店で飲む酒は家で飲む同じ酒と味が違うように、店の空気観が味に影響を与える。
一般に、その差はボトルの個体差よりも大きい。
だから空気観だった。
(といっても、保存方法なのか樽の違いなのか、まったく同じ酒がまったく違う味だってこともある)
ところが、いまは空気観に加えてカクテルだ。
特にフルーツ。
フルーツ系のカクテルの味は店によってまったく違う。
その差はあまりにも大きい。
たとえばイチゴひとつとっても、コンビニの野菜コーナーのイチゴと「あまおう」ではその味がまったく異なる。
そんなフルーツの質に加えて、そこに加える酒の種類と質と量、氷を加えてすばやくシェイクする技術も違う。
だから、ギムレットひとつとっても味がまったく違うのは当然のこと。
その店ではどんなカクテルを出すか?
この楽しみは他のどんな酒も及ばない大きな広がりを持つ。
フルーツの特徴はなんと言っても旬。
たとえば初夏と言えば白桃。
白桃とシャンパンのカクテル、ベリーニ。
その辺のスーパーで売ってる缶詰やネクターで作るベリーニなんて飲んでたらカクテル自体が嫌いになる。
だから自分はカクテルをバカにしていた。
ところが銀座の Bar FOUR SEASONS でいただいた旬の白桃で作ったベリーニは、白桃以上に白桃だ。
桃の甘ったるさをシャンパンで切って香りはそのままに桃の輪郭を際立たせる。
そんなすばらしいカクテルだが、楽しめるのは旬の6~8月のみ。
どうよ、ゾクゾクしないかい?
たとえばマンゴーのカクテル。
マンゴーのヌルヌルは活かし(!)、甘みを極端におさえて後味さわやかな恐ろしくキレのある一杯になっていたが、その発想が驚異だ。
マンゴーを使うなら、たとえば酸味が強いフルーツと合わせて甘みも酸味もとろみも強いコテコテのロング・カクテルにするのが普通じゃないか。
なんでこんな発想ができるのか。
なんでこんな味にまとめあげることができるのか。
たとえばパッションフルーツのマルガリータ。
パッションフルーツはスペイン語でグラダニージャと言い、中南米で食べまくった大好きな果物のひとつだけど、これも酸味と甘みがすばらしくて。
昔々、スノー・スタイル(グラスの縁に塩をつけたもの)のカクテルのあの塩が邪魔でしょーがなかったのに、塩が全体を引き締めておいしいおいしい。
スノー・スタイルの意味がよーくわかる。
四季という名のすばらしいバーを知り、すばらしいカクテルと出会った。
ずっとこの店にいたいと思う半面、「ベリーニにかけては日本一」と言われているBar.Rという店が近くにあるので浮気してそっちにも行ってみる。
これまた感動。
ややドライに作ってもらうと、シャンパンの香りや清涼感が立ってきて心地よい。
で、自分をカクテル好きにしてくれたパリジャンや、ウイスキー好きの自分にウイスキーのすばらしさを教えてくれるマンハッタンを注文してニヤニヤ。
たまんなくおもしれー。
さっきも旬のフルーツがおいしいバーを検索していると、なに、神楽坂にもあるじゃないか。
完熟トマト「オオカミの桃」のブラディ・マリーだって?
オオカミの桃を検索してみると、完熟トマトのジュースでかつては1年前に予約しないと手に入らなかったらしい。
衝撃の予感。
たまらんね、バー巡りは。
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