グルメ15:ショコラ紀行
チョコレートが好きだ。
ボンボン・ショコラ(1粒サイズのチョコレート)の場合、超一流ショコラティエ(チョコレート職人)のものでも1粒300円ほどが相場。
高いといえば高いが、料理を食べ歩くことに比べたら、えらく安い。
なので、いろいろな店に行っては食べているが、あんな小さな世界にちゃんとそれぞれのショコラティエが見えるんだからおもしろい。
ショコラティエにもいろいろな人がいる。
たとえば東京に店舗を持つショコラティエを比べてみると……
実直にカカオの世界を極めようとする生粋のチョコレート職人という人がいる。
純ショコラ系というか、彼らのショコラは純粋にチョコレートがうまい。
カカオの香りがすばらしい。
舌触りも最高。
ショコラティエでいえば下のふたりが圧倒的だと思うけれど、どうかな。
まぁまぁそう肩を張らずに、もっとお菓子ってこう、楽しいものじゃん。
そんな感じでファンタジーを加えたお菓子系、デセール系のショコラってのもまた楽しい。
遊びに溢れているというか。
自分的にはその代表格が下のふたつ。
おいおい、ショコラってのはもっとセクシーなものなんだぜ。
盛装したいい男といい女がアルコールを舐めながら溶け合うように味わうもの。
妖しさ危うさを潜ませてハラハラさせたり。
そんなエロスを感じさせるディッシュ系のショコラが下のふたつ。
女性の方、バレンタインには彼らがオススメ。
だいたい大きくこんな感じで分けられる気がする。
たとえば先日サロン・デュ・ショコラで食べたパトリック・ロジェは3、ファブリス・ジロットとフランク・フレッソンは1と2の間という感じがする。
ショコラティエやパティシエではなく、メーカー系を入れるとまたジャンルが増えるのだが、個人的にはメーカー系より個人の名前で出している店のショコラの方が断然好きだ。
たとえばノイハウスやデル・レイ、ゴディバ、レオニダスといったメーカー。
上記はすべてベルギーのメーカーなので、ベルギー系と言えるかもしれない。
もちろんおいしいし嫌いではないんだけれど、ショコラティエのショコラに比べると重いというか、ベトつくというか、バター臭いというか……ベルギー系は食べるとそれとすぐにわかる。
たぶん子供にアンケートをとったらこっちの方が人気があるんだろうな。
よりおいしいチョコレートを知ると感動が生まれて人生がちょっと楽しくなる。
それを誰かと共有できるともっともっと人生が充実する。
一方で、これまでのチョコレートでは満足できない悲しみを背負うことにもなる。
頭の痛い問題だ。
とはいえ、おいしいものがあるのにそれを素通りすることはできない。
リンゴを食べてしまったアダムはもうエデンには戻れない。
だからね、すなおに召し上がれ、ということなのだと思うのです。
「人生はチョコレートの箱のよう。食べてみなくちゃ中身はわからない」
(映画『フォレスト・ガンプ』より)