こんにちは。
ひさしぶりのブログ更新です。
日本ではタピオカが流行しているようですが、東南アジアでもタピオカ・ティーは大人気です。
先日ベトナムのフエを訪ねたら世界的ブームの火付け役となった台湾の貢茶(Gong cha)が店を出していて、ぼくも飲んでみましたが美味しかったです。
屋台のタピオカ・ティーの5倍くらいしましたけど。
でも。
実はぼく、東南アジアの麺料理の中でもタピオカを使った麺が好きなのです。
下の写真、ピカイチだったベトナム・フエのタピオカ麺で、「バン・カン」といいます(米粉で作ったり両者を混ぜることもあります)。
透き通るような透明な麺は美しく、もちもちつるつるした独特の食感は心地よく、噛めば噛むほど味が出るのにクセはありません。
また、ラオスでオススメの麺が下の写真の「カオ・ピアック・セン」です。
こちらは米粉にタピオカを混ぜて打った麺で、ところてんのように押し出したり、うどんのように切って作ります。
ぼくは米とタピオカのうま味や甘みが詰まった歯応えのある太麺(セン・ニャイ)が大好きです。
日本の麺のコシもいいですが、バン・カンやカオ・ピアック・センのもちもちつるつる感もたまりません。
ところで。
タピオカってなんでしょうか?
日本人はタピオカというとタピオカの粒=タピオカ・パール(タピオカ・ボール)を思い浮かべると思いますが、あれはタピオカの加工品です。
タピオカというのはもともとキャッサバというイモの粉を示すブラジル・トゥピ族の言葉。
南米原産ですが、痩せた土地でも育つことからキャッサバはアフリカやアジア各地に輸出され、食糧難の際に活躍したことでも知られます。
タイは世界第2位のキャッサバ輸出国でよく畑を見かけますが、棒切れのような茎を立てておくだけで根と芽が出て育つというのですから驚きです。
キャッサバは焼きイモにして食べることもできますが、毒がありエゴ味も強いことからアク抜きが欠かせません。
ですから安全に加工したタピオカやタピオカ・チップが普及しています。
もともとタピオカはキャッサバを臼で潰して粉にしたものですが(キャッサバ粉/キャッサバ・ミール)、日本で売っているのはデンプンのみを精製したものだと思います(タピオカ粉/タピオカ・スターチ)。
タピオカも小麦粉のようにさまざまな用途で使われます。
タピオカ・ドリンクに入れるタピオカ・パールはもともとタピオカを練って細長い麺状の塊を作り、それを細かく切ったものです。
日本で麺といえば小麦麺。
ラーメンもうどんもそうめんもパスタも主原料は小麦粉ですね。
でも、中国や東南アジアでは小麦麺も食べますが、米や豆類・芋類など、さまざまな原料の麺が見られます。
特に東南アジアでは小麦麺(ミー、バミー)より米麺の方が一般的です。
ベトナムのフォーやブン、フーティウ、ラオスのフー、カオ・ピアック・セン、カオブン、カンボジアのクイティウ、ノムバンチョック、タイのクイティアオやカノムチーンなどがよく知られています。
これらの違いをじっくりと語りたいところですが、またの機会にしておきましょう。
東南アジアの米は数千年の歴史を持ちますが、キャッサバが伝わったのは19世紀、普及したのは20世紀といわれています。
ヨーロッパや日本による占領時代や内戦時代、戦争で田んぼが荒れたり米が国に徴発されたりした影響で代用品としてキャッサバが普及しました。
先のカオ・ピアック・センは米粉にタピオカを入れてかさ増しした名残であるようです。
こうした歴史からタピオカは安価な食材というイメージが強く、見下される傾向にあります。
しかし、バン・カンやカオ・ピアック・センとしてタピオカを使った麺がいまだに残っており、名物にまでなっているのはそのクセのない甘みと楽しい食感ゆえのことでしょう。
日本ではタピオカ・ドリンクのおかげで白玉だんごやナタ・デ・ココのようなデザートの一種といったイメージを持たれていますが、キャッサバやタピオカはこのようにもともと主食です。
炭水化物でカロリーも高いということで遠からずブームは去り、タピオカ・パールは消えていくものと思われます。
日本でタピオカが残るとしたら別の形、たとえば上に書いてきたような麺やお好み焼き・タコ焼きのような主食としてではないかと思います。
日本にもタピオカを使った白いたい焼きがありますが、あのように使ってもおもしろいかもしれません。
でも個人的にはやっぱり麺かな。
誰か仕掛けませんかね?
米麺やタピオカ麺を研究して日本の麺世界を広げてみるのもおもしろいと思うのですが、いかがでしょうか?